今回は、自然観察指導員として活躍されている横山隆一さんにインタビューしました。

自然観察を楽しむための『すべし5ヶ条』をお伺いします。

Q:今までのご経歴や現在どのような活動をされているか教えていただけますか?

今から27年前に、日本自然保護協会という財団法人の自然観察指導員の講習を受けて、自然観察指導員として地域の公民館や小学校で自然観察をしています。秋田県の水と緑のアドバイザーや、環境省の環境カウンセラー(市民部門)として登録しています。

Q:小学校の野外観察クラブではどのようなことをされているんですか?

にかほ市立平沢小学校ではクラブに応募してきた子ども達20人くらいと学校の近くの小山に行って、植物や生き物を見たり…夏は砂浜での観察をしたりします。雨が降れば室内で昆虫クイズなどを行っています。いつか、このクラブ出身の子ども達が大人になって一緒に自然保護できればって思いますね。

Q:自然に興味を持ったきっかけは?

実家は海のすぐ近くで、夏は海岸に出てそこでカニや貝を取ったりして遊んでいました。

仁賀保中学校に通うようになり、近くの山や沼・溜池に行き、色々な昆虫を捕まえて遊んでいました。このような小さい頃の思い出を残したまま、一度東京に転勤になりました。東京に住んだことをきっかけに、にかほの自然に行きたいな…と。そういう風に思って、この講習を受けて山の中を歩くようになりました。

小さい頃は、上級生のガキ大将に連れられて山で遊んでいました。食べられる木の実やキイチゴを食べたりして遊んでましたね。 けれど、東京から帰ってくると地域の子どもたちは家でテレビゲームをして遊んでいて、野遊びをする子がいないと思いました。だから、今度は自分がガキ大将になって色々先輩から聞いたことを地域の子供達に教えてあげようと思いました。

横山隆一さん

Q:やはり楽しかった思い出は大人になった時に思い出すものですよね。だからこそ、子どもにもその楽しさを知ってもらいたいという感じですかね?

自然の中を歩いていると、キイチゴやサルナシというキウイフルーツの原種などもあり、とても美味しいんですよ。子どもたちにも「食べてみな」って感じで教えたりしています。楽しいですよ。

知らないと怖くて触れないと思いますね。僕なんかはなんでも食べてみますけど。(笑)食べて不味いものもやっぱりあるんですよ。

基本一年中色々ありますけど、やっぱり春から秋はいいですよ。冬はカモとかハクチョウの観察をしたり、スノートレッキングでは動物の足跡など色々なものが見られて楽しいです。

Q:自然って植物をイメージしますが、植物に限らず動物も含んだ「環境」に関わっているイメージを持ちました。

にかほ市ってとても素敵なところで、鳥海山から海岸まで直線で16キロメートルですが、ここに変化に富んだ七つの自然があります。他所には見られないとても貴重な環境だと思っています。

自然が豊かだってよく言いますけれど、これだけ素晴らしい自然が残っているのはとても貴重なことだと思います。

すべし1ヶ条目

Q:1ヶ条目について教えてください。

「自然を好きになるべし。」好きになったら大切にしようという気持ちが湧いてきます。

野歩きする人は基本的に自然が好きだと思うんですけど、色々見てみようという気持ちには、旺盛な好奇心などがあってそういう人が先立って歩いていると、「あれ?」「これは?」という場面が結構あるんです。 そういう場面があると、調べたりして答えが出てきます。そうすると自然が素晴らしいと感じるようになり好きになってくるので、それが大事ですね。

すべし2ヶ条目

「自然の仕組み、自然とのつながりを知るべし。」仕組み、つながりがわかれば、自然に対してどうするべきか考えることができます。

調べると、なぜこんなところに生えているんだろう?など思って、周りの環境に興味が出てくると思うんですよね。

そうするとこんなものがここにあるんだ、ここをどうやって守っていこうか。そういう風な流れができればいいなと思いますね。疑問に思ったらすぐに調べて理解していくことが大事です。

Q:なるほど。まずは知ることからはじめることが大切なんですね。

Q:自然に興味を持ってもらうために、何かしていることはありますか?

にかほ高原の自然を守るために、市と協力し合いながら保護していく方法を考えています。

そこで保護の方法が見つかればこういう貴重な植物があるよ、というような話もできるかと思います。

ですが、保護の方法がないまま、「あるよ」とだけ言ってしまうと、今度は写真を撮るために踏み荒らしたり、自然の中から掘り取って持って帰ったりする人なども出てきてしまいます。そうならないために市と協力しながら保護対策を作り上げていきたいと考えています。

すべし3ヶ条目

「 自ら自然を守るべし(身近な地域の自然)。」

仕組みやつながりがわかってくると、その自然に対してどのように守ろうかとなってくると思うんです。

すべし4ヶ条目

「自然を守ることの大切さを伝えるべし。」

自然を守ることを考えた時に、自分一人ではなにもできないので、そういう環境、植物や生き物があったら、信頼できる人に話をして一緒に考えていくことが必要だと思います。そうやって話をしていくうちに守っていくための案が出ます。その中で道筋が見えてくると思うんです。

すべし5ヶ条目

「自然を守る仲間を作るべし。」

そうすると、自然好きな人達を集めて観察会をしようなど話が進むと思います。

僕の場合は公民館と一緒になって、『にかほ再発見』というシリーズで何年もやっているんだけど、自然を観察することで守ることが大事ということを伝えていこうと思っています。

Q:誰かと一緒に力を合わせることは重要ですよね。仲間が見つかると活動も楽しくなりそうですね。

Q:将来的ににかほ市がどうなってほしいなどありますか?

今悩みがありまして、一緒に活動する若い人が欲しいなと思っています。 一緒に自然の中で遊びませんか?って。遊びながら住んでる場所の自然の素晴らしさを知ってもらって、一緒に活動できればいいなって思います。

Q:横山さんにとってにかほ市とはどんな街でしょうか?

にかほ市を作ってくれた鳥海山と七つの自然があるのだから、これを守るために一緒にこの素晴らしいところを残していけるようにもっと歩きたいですね。そして、この素晴らしさを伝えたいです。

今行っているのは、『にかほ再発見』です。歩けるうちは先立って引っ張っていこうと思いますね。 

自然観察を楽しむためにも、自然を知り、守ることの大切さを感じました。横山隆一さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

横山隆一

財団法人の自然観察指導員の講習を受け、自然観察指導員として地域の公民館や小学校で自然観察員として活動。秋田県の水と緑のアドバイザーや、環境省の環境カウンセラー(市民部門)として登録されている。