北秋田市からにかほ市へ移住し、子ども向けの運動教室を創業した佐藤 柚羽さんにインタビューしました!(※取材当時2023年の内容です。)
今回は、コーディネーショントレーニングを楽しむためのすべし5ヶ条を教えていただきました。

コーディネーショントレーニングとは一体…!?どんなものなのかも教えていただきました!

Q:まず、ご経歴と現在の活動を教えてください。

出身が秋田県の北秋田市です。2、3年前くらいに、にかほ市に移住して、今はにかほ市の地域 おこし協力隊として活動しています。(※取材当時2023年8月)

今、主にやっている活動は子どもたちの運動に関することがメインです。にかほ市にある『BSスポーツ クラブにかほ』という総合型地域スポーツクラブのお手伝いに行ったり、そこでやっている子供向けの運動事業のアシスタントをしたりしています。

最近だと、金浦にできた『竹島潟スケートパーク』にも行って、管理人としてお手伝いをしています。

他にも、にかほ市役所のスポーツ振興課の方のお手伝いもしています。

チャレンジデー(※住民参加型の運動イベント)では『エスパーク』を使わせてもらい、運動教室を開催させていただきました。

あと、各公民館の『放課後子ども教室』というものがあります。各公民館で月1回程度開催されているので、その講師に呼ばれた時は講師として参加しています。金浦公民館では、サポーターという形でも参加しています。
そして、自分で子ども向けの運動教室を運営・指導しています。子どもたちの運動にいろいろと関わらせてもらってます。

Q:子どもたちの運動を軸に色々な活動をしているんですね。

そうですね、色んなお手伝いをしています。 


Q:それでは、『すべし5ヶ条』について取材させてください。

今回の5ヶ条は、私が運営している運動教室でテーマにしている『コーディネーショントレーニング』っていうものがあるんです。簡単に言うと「運動神経を伸ばす」というか、「運動の基礎を伸ばす」ためのトレーニングです。

『コーディネーショントレーニング』っていうのは、リズム感やバランス力とか、細かく分けると7つの能力に分かれてるんですけど、それを伸ばすためのトレーニングがコーディネーショントレーニングと言います。それについての5か条、『コーディネーショントレーニングを楽しむためのすべし5か条』を紹介しようかなと思います。

Q:コーディネーショントレーニングというものがあるんですね!早速教えてください!

すべし1カ条目

1ヶ条目は、まずは楽しく遊ぶべし。これが1ヶ条目です。
理由は、運動って子どもでも最初は「自分はあんまり走るの早くないから嫌だな…」とか、「誰々に負けたくない」とかやっぱり子どもでも「自分は運動ができない」っていうのが、小学生ぐらいになったら良くも悪くも自覚するようになると思います。

そこで「運動が嫌い」ってなってしまって、ずっと運動をやらないでいると、もう動かない子になっちゃうので、運動をみんなに好きになってもらいたいわけじゃないですけど、好きじゃなくても楽しいって思ってもらいたいので、まずは「運動と思わずに遊びと思ってもらえたらいいかな」と思っています。

まずは、運動をやるっていうよりも楽しく遊ぶ。これが一番ですね。楽しいのが一番です。楽しかったらなんでもやるから。

Q:私も運動はすっごい苦手だったので学校の体育が苦手でした 。インドア派だったのと外が苦手で兄弟もいなかったので一人遊びが多かったです。

体育の授業は学校のルールや方針があると思うので仕方ないですが、体育の授業は嫌でも、運動自体は嫌になってほしくないかな。体育が嫌で、イコール運動が嫌になってほしくないです。

すべし2か条目

2か条目は、色々な動きをしてみるべし。これはさっき言ったコーディネーショントレーニングに繋がるんですけど、普段しない色々な動きをすることによって、色々な箇所が鍛えられます。

例えば、「小さい頃からずっとサッカーやっていた子」よりも、「小さい頃に、いろんな動きを経験した子」の方が土台がしっかりできているケースがあります。

小さいうちにいろんな動きをした子の方が、サッカーで使う筋肉だけじゃなくて、いろんな箇所が鍛えられるから、後で新しい技を取得する時に役に立ってきます。

一つに打ち込むのも全く悪いことじゃないけど、怪我のリスクも出てきちゃうから、いろんな動きをした方がメニューも変わって、また違う楽しさがあるかもしれないので選択肢が広がると思います。 

すべし3か条目

3か条目は、できないことを楽しむべし。できないっていうのが、実はいいんです。できないことでもどんどんやった方が良いです。

できないことをやらせようとすると、子どもは「もうできない…」ってなってしまうと思います。そうなったら、まずは、できる動きをして、そこからちょっとずつ難しくしていくとか、段階を踏ませてどんどんやっていくのがいいです。

できない方がいいというか、「完璧にしない方がいい」と言われているので、いっそのこと、できないっていう状況を楽しむというか、できないこともマイナスだけじゃないって思ってほしいと思います。

Q:「できない」ことはマイナスに捉えがちですが実はそうではないんですね。

すべし4か条目

そして、4か条目は、すぐに結果を求めない。

Q:急に現実的になりました。

自分に言ってるような話でもあるんですが、すぐに結果を求めないこと。 

コーディネーショントレーニングって、「走り方教室」とかみたいに、「すぐに何秒早くなります!」みたいに数字で表すのが難しいんです。
コーディネーショントレーニングは基礎能力の向上なので、「基礎を鍛えます」って言っても、「じゃあ数字で表わせますか?」って言われた時に、すぐ数字で表わせられないので、結果が見えにくい部分があるんです。だからこそ、結果を求めて焦っても仕方ないんです。

コーディネーショントレーニングって『ゴールデンエイジ』って言われる、年中・年長や小学生のうちにやった方がいいんです。

そのぐらいの子どもを育てる親の目線になると、やっぱり結果を求めてしまいがちなんですが、少しずつ積み重ねていくことで変化が起きてきます。

結果を求めすぎると、プレッシャーになっちゃう子もいるから、あんまり気を張りすぎずに取り組んでいくほうがいいと思っています。

この意見に関しては賛否両論あるかもしれないけど、私はすぐに結果を求めなくてもいいかなって思います。 

Q:運動能力だけじゃなくて、すぐに結果を求めず取り組むというような、そういう考え方も鍛えられそうですよね。私は集中力とか継続力が保てなくて、三日坊主で終わる方だったので、継続するのが難しいのかなと感じました。

すべし5か条目

まさにその話にそのまま繋がるんですが、最後の5か条目が、継続するべし。

でも、私も苦手です。継続することが一番難しいです。

教室などに通うと自然に継続されると思うけど、全員が教室に通い続けるということも難しいと思います。もちろん習い事になると家計の問題もあるだろうし。

継続するって誰にとっても難しいから、小さい目標をクリアして、少しでも成功体験を積んでいくといいかなと思います。結局は目標がないと頑張れないと思います。私もそうだったんですけど、目標がなくなった瞬間に何もやる気なくなっちゃうから。

Q:子どもの頃からやってると身に付きそうですよね。勉強とか私生活とかなんでも。

運動は、まさにそうです。体幹を鍛えてると姿勢が良くなるとか、やると何かいいことや変化に繋がります。だから一日五分でもいいからちょっとでも動くとか、小さい目標でいいと思います。今日はただ家の周りを3周走るとかでもいいと思います。

Q:大きい目標のために頑張ろうと思うと、その大きい目標ばかり見ちゃいますよね。 

どうだろう。大きい目標を立ててやる気になる子だったら、それはそれでいいかもしれない です。 ただ、一日ぐらいダメでも自分を責めないで欲しいです。自分を責めると逆にマイナスになっちゃうと思います。

Q:なるほど。そういう時に一人でやると挫折してしまいそうですが、教室があればモチベーションを保ったり、色んな目線がでてきそうですね。

だから教室を始めました。 

Q:素敵です!

Q:この5か条を聞いた上で質問をさせてください。特に小学校低学年や幼稚園の子のような小さい子どもと関わることが多い中で、接し方で気をつけてることや、何か学んだことはありますか?

ありますね。一番気をつけてたのはその子を否定しないことです。

言い方が合ってるか分からないけど、怒らないです。これが正しいかどうかは置いといて、怒るっていうのは、多分、学校に行けば先生がいて、家に帰れば親がいて、怒る人はいるから、私が教室に来た子に対して怒ることはしなくていいと思っています。

怒るのは親や先生がいるから、怒るんじゃなくてせめて子供にとっての息抜きでもないけど、そういう場所にもなれたらいいなって思います。

もちろん行きすぎないように線引きだけはちゃんとするようにしています。

Q:そうですよね、やっぱりみんな褒めて伸ばす方が個人的にもいいなって思うし、自分も褒められたいって思います。だからこそ、本当に怒らなきゃいけない時は、どうすればいいんだろうって思います。

そこが一番難しいかもしれないです。まったく怒らないっていうのも違うと思ってます。

ちょっと自由なぐらいだったら別にいいんだけど、例えば、暴言を吐いたり、子どもが怒って物に当たったりしたら、怒ります。

怒るという表現があっているかは難しいんですがちゃんとそこの線引きはしますね。

Q:なるほどです。

Q:子どもが落ち込んでる時や、柚羽さんご自身もそういう気分の時は、モチベーションを保つために何かしてることってありますか?

実際にありました。保育園でお昼寝ができなくてちょっとグズっちゃって…。そのまま運動教室に来て、「何もしたくない」みたいになってしまったことがあります。

でも、できなかったらもう仕方ないんです。無理やり強制させてやらせると嫌になっちゃうので。

まずは、その子に色々と話を聞いてみています。「何が嫌だ?」とか、どういう理由で泣いてるのかとかっていうのを把握して、それでも「やる!」っていう子だったら、そのままやらせちゃうし、「やらない」のであれば、「じゃあ端で一回見て、またやりたくなったら参加するのでもいいよ」っていう感じで選択肢をあげています。

臨機応変に、その子の性格にもよるかもしれないから、あらかじめその子の性格も見つつ対応しています。

でも、子供は意外と切り替えが早いから、最後には笑顔で戻ってきてくれます。切り替えの早さは子どもから学ぶところでもあります。

Q:確かに子どもから学びますね。

Q:では最後の質問です。あなたにとってにかほ市とは何ですか?

北秋田市は県北の方にあるから、にかほ市に仕事で移住するまで、もうこの地に足を踏み入れたことがなかったので…。

Q:同じ県内でもなかなかないですよね 。 

どういう場所か知らなかったんですが、初めてにかほ市に来た時に、まず「高速道路じゃなくて下道から行こう」と思って、下道で来たら、海がすぐそこでした。

北秋田市なんて海がないから、凄いなと思って車で走っていたら、今度は目の前に鳥海山が出てくるんですよ。だから「こんなに海と山が近いところもあるんだ」っていう、その自然のすごさ、それが第一印象です。

そのあとは、地域おこし協力隊だから、いろんな人と関わる機会が多かったのですが、みんな優しい、人がいいです。

気にかけてくれる人が多いなと思いました。周りにも東京から来た人がいるけど、そういう人たちもみんなやっぱり人がいいっていうのをすごい言ってたから、その通りだなと。

にかほ市の人たちに助けられてなんとか生きてます 。

Q:以前は東京にいらっしゃったんですよね。東京と比べるとどうなんでしょうか?

交通の問題はあるかもしれないけど、でも大して困ったことはないです。車があると電車 に乗らなくなるので。

東京との違いは、他人との距離が近いって言えばいいのかな?気にかけてくれる人が多いです。地域と関わることが多いから、色んなものをくれたりします。それが嫌な人もいるかもしれないけど、個人的には嬉しいですし、とても感謝しています。

Q:自分に合ってるってすごくいいですよね。

すごいいい町だなと思いました 。

Q:以上になります。今日はありがとうございました 。

子どもたちの可能性を広げるためにも、運動という文脈だけではなくコーディネーショントレーニングは活用できるものだと思います。

やはり学ぶ機会が自分の地域にあるということは有難いことですね。

佐藤 柚羽さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

佐藤 柚羽