今回は、観光事業・横岡地区で『ゲストハウス麓〼(ろくます)』の開発運営を行なっている『Ventos』(ベントス)の中山さん、笠間さんにインタビューをしました。
東京都から秋田県にかほ市に移住したお二人に、田舎の楽しみ方についてお話を聞いてきました!
Q:まずお二人の経歴と現在の活動を教えてください。
(中山)経歴は私たちVentosは元々、僕と笠間怜と2人で約3年前に結成された団体です。元々日本や海外を2人で旅行しているときに”観光の感動”というものに気がついて、実際に観光分野での起業を目指しました。
そのきっかけとしては、僕たち2人が長岡花火大会に行って、長岡花火大会でその地域の人たちがいっぱいいたんですけど、僕たちは遅れてきたので席が空いてなかったんですよ。
なので、立って見ようかなと思ってたら、地域の人たちがスペースを空けてくれて「一緒に見よう」と言ってくれて、一緒にその花火を見ながらお酒を飲んで地域の話をするっていう経験がとても楽しくて感動しました。
こういった関わり合いのある観光の感動を提供していきたいなという思いから起業を目指しました。そこからは2人でも色々な所に旅に行って、その場所の記事や動画で、その場所の絶景スポットをまとめたサイトを立ち上げました。
そこでいろんな発信をしていきながら、新規事業開発を進め、あらゆるビジネスプランコンテストに出ていました。
在学中だったので、「キャンパスベンチャーグランプリ」という大学の全国でやるビジネスプランコンテストがあったんですけど、そこで見事3位に入賞して、そこから「Hatch!ビジネスプランコンテスト」っていう、にかほ市とJR東日本企画が共同で行っているビジネスプランコンテストに参加して、入賞したことをきっかけに地域おこし協力隊として去年の4月から委嘱を受けることになりました。
経歴で言うと、ずっと観光事業というものをつくりたくてビジネスプランコンテストに出ていまして、そこから実際に自分達が本当につくるっていうようなフェーズに入ってきているところです。
(笠間)現在の活動としては、移住してから地域の生産者の方に、農作業や漁師の体験などをさせていただいています。
自分が体験させていただいた体験を県外の人にも体験して欲しいと考えていて、首都圏の人に対して田舎が作れるゲストハウスっていうものを象潟町の横岡に作っています。令和3年に移住して今そこの準備を進めているという段階です。
ゲストハウス麓〼(ろくます) Instagramこちらで改修作業の様子や麓〼についての情報を見ていただけます!ぜひご覧ください。
すべし1カ条目
(笠間)「自然で遊ぶべし」。首都圏にも自然はあるにはあるんですけど、こんなに身近にはないと思います。家を出れば自然が広がる環境にいるので、そこを楽しめれば生活が豊かになるというか。
どこにでも自然があるから、にかほ市は海も山もあるので、そこの部分で言っちゃえば日本でもトップクラスの自然があると思っています。それを楽しめればいいんじゃないかなと思います。それこそ夏はサーフィンができるし、冬はスノボができるし…みたいな。ただの植物的な自然だけじゃなくて、雪だったりだとかシーズンで楽しめることがたくさんあると思います。
Q:元々自然は好きだったんですか?
(笠間)自然が好きです。めっちゃ好きですね。スノボもしてましたし、サーフィンもしてましたね、東京にいた頃から。っていう部分でこっちに来てからそれがすぐできる環境にあるから楽しいなと思います。キャンプもすぐできるし、バーベキューとか登山も、星も綺麗だし。水も釣りも。
すべし2カ条目
(中山)「自然の絶景を楽しむべし」です。この自然の絶景を楽しむべしっていうのは、にかほ市の自然の絶景がたくさんあるっていうのを示唆しています。
にかほ市には海も山もあるっていうところで、もちろん農業漁業が盛んですが、絶景でいうとまず海ですね。夕陽がすごく綺麗です。夕方頃に浜辺に行って、夕陽が落ちるのを夏頃見ると本当にすごく綺麗です。
日本の夕日100選みたいなのにも入っていて、日本でも有数の絶景スポットだなと思います。
それと船の上から見る鳥海山がすごく綺麗です。これは漁師さんのお手伝いとかをしているときに朝とかに見られるんですけど、鳥海山を海から見ると神秘的な偉大さを感じます。
その他にも絶景スポットでいうと、山の方に田んぼが広がっているんですよ。そこを登って行って上から見る棚田は本当に綺麗だなと思っていて、春の時期、夏の時期などで色が変わるのでどのシーズンでも棚田を見ると感動します。
Q:一番の絶景スポットはどこですか?
(中山)僕は象潟海水浴場ですね。6月くらいに夕日をそこで見るんですけど、いわゆるウユニ塩湖みたいな感じの反射鏡になっていて、すごく綺麗なスポットです。
(笠間)僕は横岡から見る棚田の景色が一番綺麗だと思います。
ちなみに海水浴場の方は海開きするときに砂浜を整えるからその前じゃないと、6月頃までじゃないと見れなかったです。夏の間は見れなかったです。
Q:ぜひ連れて行ってください。(笑)
すべし3カ条目
(笠間)「首都圏との違いは楽しむべし」。というのも、それこそ生活する環境とかも全然違うので、まずそこを楽しめないと苦しくなっちゃうし、一番大きい違いでいうとやっぱり人の暖かさがこっちにはあるから、そういう部分を楽しむべきだと思います。
日常的に過ごしていても違いが見つかるから、そういう違いを見つけるっていうことを楽しめればいいのかなって思います。
Q:ここが違って驚いたとか、大変だったとかはありますか?
(笠間)大変は特にないですけど、驚いたのでいうと勝手に家に入ってくるところとか。横岡に関しては。(笑)
それも関係性がある上でのことですが、ガラガラってそのまま躊躇せずに入ってくることとかは東京ではありえなかったことですし。
最近だと雪かきをしてくれる人がいます。手伝ってくれるパターンはもちろん、自分達がいなくてもしてくれる人がいたりとか。東京では理解できないような人思いな一面があるから楽しいし、嬉しいです。
すべし4カ条目
(中山)「自然のものをとって食べるべし」。これは食が大好きな僕にとってはすごく印象的な4箇条目なんです。
それこそ山の方では来た時にもう山菜採りが普通に行われていたんですけど、僕はやったことがなくて、実際にこっちの地域の人たちと山菜採りをしたときに、色んな種類の、5種類から10種類くらい山菜が採れて、いろんな調理方法があるというのを知りました。
それを家に帰って食べたときに、自分で採ったからか分からないですけど、すごく美味しく感じました。スーパーで売っているものをただ買って食べるよりも、美味しさを感じました。味がすごく濃かったです。あとスーパーで食べたことがないような山菜ばっかりだったからとても楽しかったですね。
夏の時期だと、実際に漁師さんの船に乗りお手伝いをすることがあります。そこでは、その場所で捕れた魚を、その場で刺身で食べたりすることもあります。
さっきまで生きていた魚をすぐ食べるっていう経験はなかったし、それもすごく美味しく感じたし、良い田舎らしさを感じました。
あとは農業ですね。僕たちは蕎麦打ちもするんですけど、蕎麦を実際に刈り取ってその場で挽いて手打ち蕎麦にしてそれを食べました。それもすごく香りが高くて、今まで食べたことがない蕎麦だったなっていう印象です。
今まで食べたことがない、東京では味わえないような味だったりとか食感だったりとか香りっていうものをこっちの食ではすごく楽しめます。もちろん法律に則ってですけど、とって食べることがすごく刺激的だし、いいところだなと思います。
『とって食べる』ことについて考えさせられたことがあって…山の猟師さんから色んなジビエをいただくんですよね。イノシシだったりだとか、鹿だったりだとか、カモだったりとか。
それを食べるっていう経験をさせていただくんですけど、美味しいことはもちろん美味しいんですけど、それに加えて命の大切さじゃないですけど…ちゃんと自分達が食べているものって生きているものだし、それを殺して食べているんだなっていう実感を持てました。
やっぱりスーパーじゃそういうことは考えられない。田舎はそういうところがいいなと思うし、食育にも繋がるなっていう風に思いました。
Q:蕎麦打ちを始めたきっかけはどんなきっかけですか?
(中山)蕎麦打ちをするきっかけは地域の人で蕎麦の農家さんがいたので、僕たちも一緒にやりたいっていう話をしたら教えてくれました。
Q:噂によると蕎麦のキッチンカーをやられたとか。
(中山)そうですね。その蕎麦を実際に自分達の手で打って、2021年の年末に男鹿の方にキッチンカーを出しました。反響はまちまちでしたが。(笑)
すごく良い経験になったし、美味しいものができたかなって思います。
すべし5カ条目
(笠間)「人と繋がるべし」。これは1〜4ヶ条目全てに通ずるものでもあるけど、やっぱり現地の人と繋がらないと現地のことも知らないし、何ができるかも分からないし、何ができるって分かってもどうやればいいかが分からないことが起きると思います。
とにかく人と繋がれば色んなことに派生して楽しいことも見つかるようになるし、っていうので、人と繋がるべしです。
実際、自分達も何も分からない状況の中、にかほ市に移住してきて色んな人に繋がって何不自由なく過ごせている部分はあるので、そこはやっぱり一番大事かなというのは思います。
Q:自分達から積極的に声をかけに行ったのでしょうか?
(笠間)してましたね。それこそサーフィンをやるときとかは、にかほ市内唯一の金浦にあるサーフショップに何も分からないまま飛び込んで、サーフィンやりたいですとか言ったり。(笑)
誘われたことは全部断らないようにしてました。それこそ今やろうと思っているゲストハウスの地域のグラウンドゴルフの大会とか、やったことないけど行きますとか言って行ったり、あの地域だけじゃないかもしれないけど、みんな飲み会とかすごく好きなのでおいでって言われたら行ったりしてましたね。今もしてますけど。(笑)
Q:では最後の質問になります。お2人にとってにかほ市とは何ですか?
(中山)初めての田舎です。やっぱりずっと20何年間ここに来るまでは東京に住んでいたり、海外に住んでいたりしたんですけど、根を張って田舎で生活するっていう経験をしたことがなかったので。こっちに来てまだ9ヶ月か10ヶ月程度(※2021年取材当時)なんですけど、初めて田舎で自分が生活しているな、人生を送っているなっていう実感が湧いています。ここが僕にとっての田舎だなって思えたらいいなって思うし、そういった風に言えたらいいなって思うので。
にかほ市は僕にとっては初めての田舎だなっていう風に思いました。
Q:元々田舎に住みたいとか住んでみたいとかはあったんですか?
(中山)元々は田舎に住みたいって思ってなくて。(笑)住みたいというか、興味はありました。でも東京に住んでいると田舎に住むっていう実感が湧かないんですよ。
アニメや映画、本とかで田舎の優しさとか雰囲気を感じ取っていて、そういうのは体験してみたいなっていう風に思っていたので。東京にいたときから興味はありました。
Q:にかほ市に来て良かったですか?
(中山)にかほ市に来て良かったなって思いますね。新しい体験とか、こういう人生があるんだみたいな。人生2回やってる気分です。(笑)
(笠間)僕は、憧れてた田舎って感じですね。自分はずっと小さい頃から田舎での生活に憧れていたので。憧れて育ってきて、田舎でやりたいことをずっと溜め込んできたというか。田舎だったらこういうことできるんだろうなというのを色々と妄想してたというか。その理想をずっと抱えてたので、来てから何でもできるし、思い描いていた田舎がある感じですね。
Q:にかほ市に来て何が一番やりたかったですか?
(笠間)モリ突きなんですけどそれはまだできてないです。海が近いから魚食べたいなと思ったら海入ってモリ突けば魚食べれるのかなとか。(笑)そういうことを思ってました。
あとはお裾分けをもらってみたいと思ってました。それがないから東京には。ある人はあるかもしれないけど…。こっちに来てから野菜をいっぱいもらいます。ありがたいです。
Q:今後こういうことをしたいとかはありますか?ゲストハウスをこうしていきたいとか。
(中山)ありますね。語ったら30分長くなりますよ。(笑)
今後は、僕たちが都会から田舎に来て体験した楽しいこの5箇条をサービス化させようかなと思っています。
ゲストハウスに泊まった人にはこういった体験をみんなに提供して、同じ楽しさを共有できたらなって思ってます。
なので、ゲストハウスでは農業・漁業体験もできますし、アクティビティの部分でサーフィンやサップ、鳥海山登山だったり、色んな体験ができるようにします。
そういったところを僕たちが案内したり、各自で行ってもらったり、紹介しながらゲストハウスの方の運営をしていきたいなと思います。
Q:たくさんの人にゲストハウスに足を運んでもらいたいですね。
(中山)そうですね。たくさんの人にゲストハウスの魅力をどうやってオンラインで伝えるかっていうのが課題だと思うんですけど、そこを解決すれば色んな人が来てくれる気がします。
本当に今話した5箇条全てを網羅できるので、絶景も見れるし、自分でとったものを食べれるし。
地域の人との繋がりというか、地域の人たちとご飯も一緒に食べれて、体験もできる。いろんな田舎の良さを体験できると思います。
場所が、にかほ市の象潟町の横岡というところで、鳥海山の一合目にあたる地域なんですけど、だいたい300人くらいそこには住民がいます。その住民と一緒にご飯を食べることももちろんできますし、ザ・田舎っていう風土を持っているんですよ。
そこに来たら一発で都会の颯爽とした雰囲気じゃなくて、静かでのんびりとした空間がそこには待っているので、ちょっと都会に疲れた人とかにぜひ来て欲しいなって思います。
都会で育ったお二人がご自身の感動体験をもとにつくるゲストハウス。素敵なゲストハウスになりそうですね。
中山さん、笠間さん、ありがとうございました!