今回は、にかほ市のダチョウ飼育農場『佐々木ダチョウファーム』を運営している佐々木清二さんにインタビューをしました。鳥類最大のダチョウを育てる1日のルーティンとは?どんなお仕事をされているのか詳しくお聞きしました!
Q:ダチョウ農家を始めたきっかけを教えてください。
親の介護があって、勤めることができなくて会社はやめたんだけどお金が入ってこないから、何かやれるものはないかと思って調べたんだけど、そこでこういうのを見つけてやってみようと…もう20年近くなるね。
Q:始めた当初、苦労はありましたか?
そりゃありますよ。周りに誰も知ってる人がいないから、何かあるたびに東京に電話して聞いたよ。獣医に行っても獣医もわからんのよ。獣医が、東京の人が言った薬出すからって感じで…でも、ダチョウは病気に強い鳥だったので助かったね。
ルーティン
AM 6:00 起床
AM 8:00 餌やり
エサは1日2回。1回目はAM8:00。
Q:雛からどれくらいの期間でこのサイズになるんですか?
早いので7ヶ月くらい。あと2ヶ月くらい成長するけど、あとは横に広がるね。
Q:オス・メスはすぐに見分けられますか?
あまりわからないけど、顔で判断できる。絶対ではないけどオスは顔がキツくなってくる。
Q:ダチョウって鳴かないんですか?
小さい時だけ鳴くよ。大人になると声帯がなくなるんだよ。だから鳴かない。でも雄は発情すると空気の流れで音を鳴らすんだよ。
AM 9:00 農作業開始
Q:農場内作業は具体的にどういったことをされているんですか?
牧草を切ったり、周りの草刈りをしているね。
Q:雛がいる場合はどのような作業になりますか?
畜舎に入れて、温度管理をする。床温度で25度。室内温度はそれ以上になっちゃうけどね。昼間には運動させるために外に出して、夕方には中に戻す。
ここは山だからたぬきとか出るんですよ。だから罠仕掛けたりもしなきゃで。この間はアナグマがかかって、殺すのもかわいそうだから山に逃してきたよ。
AM 12:00 食事・休憩
PM 14:00 餌やり
Q:エサは1日2回8時と午後2時ごろとのことですが、ダチョウのリズムがあるんですか?
リズムとかじゃなく、一回でどかっとやると、たくさん食うやつがほとんど食べて残らない。こまめに食べたいやつもいるので、それに合わせるために2回餌やりをしている。
PM 15:00 外回り
Q:15時から外回りで配達をされているんですか?
注文がきた時の配達とか。ストックもある。このコロナで配達はあんまりないけど、3羽は東京に売って、2羽は持ってきてストックしている。
Q:ダチョウはどのくらいで出荷できるんですか?
大体10ヶ月くらい。卵も今年からやらなきゃいけないでしょうね。でもやりたくないんですよ。孵化は、お金がかかってね。
Q:卵も出荷されるんですね。卵をたくさん産むんですか?
1年間、一羽で30個ほど産む。大きい個体だと40個ほど。
Q:ダチョウの卵って、鶏の卵みたいな感じで食べることはあるんですか?
うちは黄身だけを使ってアイスクリームを作ってる。
産卵期は3月ごろからかな、その気になったら3日に1回くらい産むけど、産ませないようにして長くやってんのよ。冷蔵庫に入れて取っておいたら置き場所がなくなっちゃうからね。だから多すぎたら割って黄身を取って冷凍してるんだよ。いつ注文が入るかわからないからさ。
Q:年を重ねると肉の味などに変化はあるんですか?
5〜6年は変わらないと思うんだけど、一応組合で24ヶ月って決められている。
PM 18:00 帰宅
PM 21:00 就寝
Q:忙しい時期のルーティンをお聞きしてもいいでしょうか?
春と秋に屠殺(とさつ)場に行く時だね。夕方捕まえて、朝の2時に起きて出発だからね。
日中走ってもいいんだけど、生き物を積んで日中走るのは嫌なのよ。急ハンドルとか急ブレーキとかできないから。
Q:仕事の中でのやりがいはありますか?
ばんばん売れればやりがいも出るんだけどね。最初は成長の速さにやりがいを感じていた。本当はもっとこの肉をみんなに食べてもらいたい。生でも食べられるし、カロリーも少ないし、肉を制限されているような方に食べてもらいたいね。
Q:仕事をする中でこだわりなどはありますか?
とにかく牧草を余計食べさせて早く成長させている。牧草が一番タンパクがあるので。牛が食う牧草じゃないよ。クローバーの牧草だよ。好むんだよね、柔らかいし。
前に牛の牧草とクローバーで分けてやったら成長が違うんだよ。クローバーの方が大きいんだよ。うちでね、一年育てて一番重かったのは120キロだったね。
Q:では最後に…佐々木さんにとってにかほ市とはどんなところですか?
いいとこだね。ダチョウの飼育にも秋田県で一番適してるんじゃないかな。だって温度も高いし、雪も少ない。食べ物は美味しいしね。
やっぱり食べ物が美味しいところが一番いいよね。ここら辺にいれば自給自足みたいな生活ができるじゃないですか。それが一番の魅力じゃないかな。周りの人が「これ食べれ」って畑のものを持ってきてくれるんですよ。そこらへんが一番いいね。
環境の整っていないなか、ダチョウファームをはじめるのには数々の苦労があったかと思います。卵のアイスなど、面白い取り組みを聞くことができました。
佐々木清二さん、ありがとうございました!