今回は、『酌屋六三五』を営み、山菜採りも行っている六平真さんにインタビューしました。山菜採りについて「すべし5ヶ条」を伺います。

Q:経歴と現在の活動を教えてください。

母親と親父から山菜採りを行っていて、小さい頃からそこについて行っていたので、山菜に触れたのは物心ついた頃から。川に釣りに行ったり自然で遊ぶことが多かった。

現在は山菜を扱ったおまかせ料理店を営んでいる。それまでは居酒屋と鮨屋で働いていた。

Q:山菜料理を始めたきっかけは?

自分で飲みに行きたいお店がなくて…今の飲食店って既製品や冷凍食品を出しているところもあるわけじゃん?地元には、いい食材あるんだからそれを伝えたいなと。

最初は従業員がいて、普通の居酒屋でメニューから選んでもらう形だったけど、従業員がいなくなってから今のおまかせのスタイルに変えた。

街から人は少なくなっているし、せっかくやっているんだから自分のおすすめしたい食材を使った料理を提供したいと思って。

春には山菜料理を提供できるじゃん?それにただ提供するだけでなく、採ってくるから物語が生まれてきてお客さんも喜んでくれる。季節を感じさせる食べ物っていうか、そういうものが大切だと思ってる。

仕事として山菜を採りに行っているけど、元々は遊びの延長だから仕事なのか遊びなのかはわからないけどね。(笑)

すべし1ヶ条目

Q:では、山菜採りについて1ヶ条目を教えてください。

「山菜は根こそぎ取るべからず。」全部採ってしまえば、死んでしまう。

だから残して来年のためにだったり、自分の後に山に入った人が採ってもまだ残せるように。そうやっていかないと山が死んでしまう。あるからってなんでも採るのではなく、山菜採りが楽しみなのであれば来年の事なども考えなければならない。

すべし2ヶ条目

Q:2ヶ条目について教えてください。

「1人では入らない。」

熊などもいるし、滑落もあるしなんかあった時のために1人では入らないことだな。上に登れば斜面もキツくなるし。足折ったり、頭打ったってなれば1人じゃどうしようもないからな。

Q:電波とかって入るんですか?

電波は入るけど…緯度と経度がわかればいいけどな。やっぱり山だから場所が分かりづらいからな。

Q:この山菜には気をつけろ!というものなどありますか?

ギョウジャニンニクかな?それと鈴蘭を間違えることがある。鈴蘭の葉っぱとギョウジャニンニクの葉っぱが似ている。これを間違えて食べることもある。ニラと水仙も似ているから間違えやすい。わからないものは採るべきではないな。

六平さんが採った山菜

すべし3ヶ条目

Q:3ヶ条目について教えてください。

「食糧と水分は持っていくべし。」万が一の時のために、食糧は持って水も多めに。最悪、動けなくなっても生き延びられるように。春だからそこまで夜は冷えないけど、ゴミ袋を持って行けばゴミも捨てられるし、万が一被ったりもできるし。万全の状態で向かうべきだね。

Q:事前準備は大切ですね。まさに備えあれば憂いなしですね。

すべし4ヶ条目

Q:4ヶ条目について教えてください。

「熊避けの道具を所持するべし。」熊避け用のベルは持って行ってるね。それに加えて、火薬銃みたいなのも持って行っている。爆竹やロケット花火を使う人もいるけど、春先は乾燥していて火事の恐れがあるから火薬銃にした。

Q:音って本当に熊に対して有効なんですか?

人がいるっていうアピールとしてらしいんだけど、熊にやられる場合は大体出会い頭だからな〜。

最近は山との境界線がなくなって人里に降りてくるんだよな。境界線を作れば、熊もここは人が居るって気づける。それがなくなってきたから。杉の木に爪痕があったりするんだけど、それは熊の縄張りって証。

熊避け用のベル

すべし5ヶ条目

「長袖、長ズボンを着用すべし。」

やっぱり、山に入るから漆だったりがあってかぶれたりするし、棘がある植物もあるし。笹で切れることもあるからな。それに虫もいるし。

Q:個人的に気になったのですが、山菜を採る人たちでの縄張り意識みたいなのはあるんですか?

あると思うけど、今は山入る人がいなくなってきたからな。山菜を採る人の年齢がどんどん上がっているから採る人数が減ってきている。だからこそ、採れる量が増えている気がするなぁ。親父はまだ入るけど、母親はもう入らないしな。だからこそ、山菜料理をやっていてお客さんが喜んでくれるってのもあるけどな。

Q:これから山菜採りを始める人に対して伝えたいことはありますか?

やっぱ乱獲しないことと、知らないものは採らないかな。それに、今はGPSがあるから山入る時はスマホでGPS登録しておくといい。電波は通じなくてもGPSは通じるし、自分がどこにいるかわからなくなっても帰れるからね。

Q:山菜を採る際の必須道具はありますか?

鎌はもちろんだな。それこそ両手が空いてないと危ないからリュックだな。そこに水や食糧…あとはゴミを捨てる用の袋だったり、カゴだったりだな。

六平さんが持っている山菜採りの道具

Q:六平さんにとってにかほ市とは?

そりゃ最高の遊び場だろうな!山菜採りに行けるし、自転車乗るにしても山も海沿いも走れるし…にかほ市は最高だと思う!川もあって、自然も豊かでキャンプできるし、釣りもできるしね。

山菜採りにおいての心得を知れました。楽しむためにも準備の必要性や事前に知識を持っておくことの大切さを感じました。六平真さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

六平真

山菜を扱ったおまかせ料理店『酌屋六三五』を営む。料理に使われる山菜は自身が採取した山菜を提供している。”食”を通じて地域の魅力を発信している。