秋田県にかほ市は、2023年5月17日より、鳥海山の山岳信仰によって修験者に伝えられたと言われるにかほ市の伝承芸能「小滝番楽」の継承に迫った動画コンテンツ「小滝番楽 〜400年の文化を受け継ぐ者たち〜」を配信します。
本動画では、約400年以上前から受け継がれ、「秋田県無形民俗文化財」、「国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として指定される大切な地域の文化を後継するために、小滝番楽の魅力と、文化の継承にかける保存会メンバーの強い思いを発信していきます。
動画URL:https://youtu.be/kOOfYgiiOf4
■「小滝番楽」とは?
「小滝番楽」は、鳥海山の山岳信仰によって修験者に伝えられたと言われる伝承芸能で、約400年以上前から受け継がれています。式舞、武士舞、狂言舞の3つに大別され、全部で15演目が継承されています。
演目によって太鼓のバチの太さを使い分けることで、表現や軽快さに富んでおり、平成元年には「秋田県無形民俗文化財」、平成24年には「国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として指定されました。
舞は鳥海山の御神事として奉仕し、毎年金峰神社例大祭(5月最終土曜日)の前夜と8月13日に奉納されています。鳥海山の登拝口にあたる小滝は、修験者のための秋田県で唯一の宿坊が立ち並ぶ集落でもあったことから、「坊中村(ぼうちゅうむら)」とも言われています。
■この動画の制作背景と役割とは?2つの見どころ
人口減少、少子高齢化、新型コロナウイルス感染症の蔓延などの社会課題により、存続のハードルが上がり、思うように活動ができなくなっている鳥海山小滝舞楽保存会。「小滝番楽」を未来に繋ぐために、まずはこの文化の歴史や文化を受け継いできた想いに焦点を当て、地域外でも文化を広く知ってもらうことを目的に、熱い想いを魅力として認知拡大を目指し、この動画を制作しました。
見どころ①「『繋いでいきたい』という地域の強い思い」
コロナ禍をきっかけに、3年もの間公演ができず止まってしまった保存会活動。この地域で成長を共にしてきた文化を次世代に繋ぐために活動する、保存会メンバーのリアルな声を伺いました。また、長年この地域に住み続け、継承者になった方と、地域の外から移住して演者になり、継承者となった方それぞれにインタビューをし、この地域でこの文化がなぜ大切にされているのかについて、焦点を当てています。
見どころ②「地域に浸透する歴史ある文化」
380年前に作り直されたお面を今でも受け継ぎ、戦時中でも大切な存在として戦友たちの前で披露されてきた歴史がある文化。保存会の活動により、地域の小学生たちに指導する活動も行われ、学校にも郷土伝承芸能クラブなどがあります。小滝番楽の舞は、難しい面があるものの、その地域で育った子供たちは親や祖父の真似をするなど、日常的に文化に触れているため、自然と覚えていて上手に踊ることができます。地域に浸透する文化として、大切に受け継がれています。
■昨年公開した動画コンテンツ「USHIWAKA BeNKeI」との繋がり
にかほ市は昨年、釜ヶ台地域で継承される「釜ヶ台番楽」を、電子幕を用いた背景演出と組み合わせて動画コンテンツとして公開しました。
動画URL:https://youtu.be/TBdcQSiUYaQ
釜ヶ台番楽は、小滝とは別の地域で継承される伝統芸能で、小滝番楽と同じく、保存会があり、その地域で大切にされている文化です。にかほ市には、他にも「伊勢居地(いせいじ)」、「冬師(とうし)」、「横岡(よこおか)」の地域にも独自の形で番楽が継承されており、神事として各地域で大切にされています。どの地域も担い手不足で、長きにわたって大切にされてきた文化を時代に合った形で残すため尽力しており、「USHIWAKA BeNKeI」も今回の動画も、まずは多くの人々に文化を知ってもらえるような機会を増やす1つの手段になることを目指して制作しました。
また、先日「USHIWAKA BeNKeI」の動画制作の裏側に迫ったメイキング記事を公開しました。この記事では、動画制作の裏話を綴っておりますので、2本の動画と合わせて、ぜひご覧ください。
メイキング記事:https://tegake.com/bunka-10/
■今後の展望
これまでに伝統芸能の継承をテーマに、釜ヶ台番楽と小滝番楽に迫った動画・記事のコンテンツを制作してきました。他の地域でも代々受け継がれ、大切にされてきた番楽があるため、にかほ市の各地域の番楽を特集したコンテンツの制作を予定しています。
最新情報については、地域の未来を手がけるプラットフォーム「TeGAKe」(テガケ)にて発信していきます。