今回は、2022年6月に配信した動画コンテンツ「USHIWAKA BeNKeI」の作成の様子をお届けします!

小さな地域の公民館の舞台に張り巡らされたグリーンバック。なんとも不思議な空間で行われた撮影の様子を振り返ります。

■USHIWAKA BeNKeI とは?

「USHIWAKA BeNKeI」は、にかほ市の伝統芸能である番楽の演目「牛若弁慶」と、最新のテクノロジーを掛け合わせた動画コンテンツです。

eスポーツやeラーニングのように、テクノロジーとの掛け合わせで用いられる小文字の「e」を取り入れ、「テクノロジー×伝統芸能」として若い世代にも「おもしろさ」を届けたいという思いで作られました。

テクノロジーを掛け合わせるにあたり、釜ヶ台地域の番楽で用いられる「舞台幕」を、「電子幕」に変え最新の技術で作成した映像作品を映し出すことで、動画だからできる表現を目指しました。

「USHIWAKA BeNKeI」の動画はこちら:https://youtu.be/TBdcQSiUYaQ


■当日の様子

釜ヶ台地域の公民館(釜ヶ台多目的館)

撮影日は、朝から雪。

撮影を行う釜ヶ台地域の公民館(釜ヶ台多目的館)の大広間には、番楽の面などが飾られ、演目を行う高座には舞台幕。伝統を感じる佇まいの大広間に、会場設営のためカメラや音響機材を運び入れ、高座にグリーンバックを張り巡りめぐらせるとなんとも不思議な空間に。

発色のよい緑色にそまった舞台に少し驚きながらも、釜ヶ台地域のみなさんが続々と入られました。

設営の様子

着々と準備が進み、和気藹々とした空気が流れる中、なんの前触れもなく笛の音が鳴り響き、突如演目がスタート。撮影陣がついていけず、すぐさまリテイクすることになるも、演者たちのスイッチは完全に演目へと切り替わっていました。

途中舞の勢いでクロマキーがはだけ、中断。舞に合わせてお囃子が演奏をするため、途中からやり直すことが聞かず、最初からやり直しに。

本来演目を行う季節とは異なることもあり、お囃子の方々が高齢のため連続で演目を行うには、かなりの労力が必要。リテイクに対して、かなり重い雰囲気が流れるも、なんとか撮影完了。

撮影した演目に、仮で用意したデジタルな背景をかけあわせたイメージ映像を見ると感嘆の声。重くなった空気感が晴れ、地域の方からも「こんな映像も入れたらいいんじゃないのか?」という意見がでるなど、「番楽」の新しい形に期待を感じていただくことができました。



最後に、撮影日におきた裏話をご紹介します。

① 透明な刀身

舞踊用の刀にグリーンバックが反射して、刀が背景と同化してしまうというデジタル面の問題が発生。蝋をぬって、反射しないようにするというアナログな解決方法で難を逃れました。

蝋を塗る佐藤渓輔さん(演者)

② 鱈汁

会場の設営や、演舞に向けたストレッチ、小道具の手入れなど着々と準備が進んでいく中、釜ヶ台地域で中心となって番楽を発信している佐藤渓輔さんが名産の鱈を使った鍋を振舞ってくれました。

鱈汁を囲む

③ 今日一の盛り上がり

撮影も無事終わり、ひと段落するとどこからともなく運ばれる、酒。

瞬く間に始まる大宴会。伝統も地域も父も子も、一緒になって酒を囲みながら、一日の幕が閉じました。



釜ヶ台地域のみなさん、ありがとうございました!


「USHIWAKA BeNKeI」の動画はこちら:https://youtu.be/TBdcQSiUYaQ

この記事を書いた人

TeGAKe

地域の未来を手がけるプラットフォームとして、秋田県にかほ市で活躍する地域プレイヤーのインタビュー記事などを発信するWebメディア