今回は、にかほ市を拠点におき農業を営む、株式会社権右衛門の佐々木唯翔さんにインタビューしました。お米とネギを栽培する1日の仕事のルーティンから、農業に対する想いまでお聞きしていきます!
Q:佐々木唯翔さんのご経歴を教えてください。
今の会社の社長が自分の叔父で、自分が高校を卒業するときにこれから農業で会社を起こして規模拡大していくということを言っていました。
5年後10年後のビジョンをちゃんと考えていたので、そのビジョンに惹かれて一緒にやりたいなと思ったのがきっかけです。
Q:元々農業をやりたいと思っていたんですか?
特になかったですね。でも自分は西目高校出身で、学校内に農業系列がありました。友達が農業系列で専門学校へ行き、自分の家を継ぐ同級生にいたので、農業が遠い存在ではなかったです。
Q:それで高校卒業してすぐ働き続けられているんですね。
すぐですね。まだ2年目です。
Q:現在は主にどのような活動をされていますか?
お米とネギの栽培をしています。今はお米が終わったので、ネギをずっと収穫して、調整して出荷するという一連の作業を行っています。
メインはお米でお米の時期以外はネギをやっています。かぶってしまう時期もあるんですけど。
Q:お米とネギの作業が重なってしまった場合はどうしているんですか?
その場合は今日は米、明日はネギなどその作業に応じて、その日その日で何をやるか違ったり、社員さんが4人いるので分担したりして両立しています。
ルーティン
AM 7:00 起床(仮)
これから30分の二度寝をする。
AM 7:30 起床
ここで本当に起きる。30分前に一回起きておくのは寝坊防止。
まず7時に目覚ましをかけて一度起きるんですけど…必ず二度寝をするっていうのは、自分の中のルーティンです。
そして30分間二度寝して、7時半にまたアラームが鳴るのでそれで起きています。
7時半の一回だけで起きちゃうと寝ちゃうので、その30分前に一回予備として起きておきます。その30分後にアラームが鳴ることで確実に起きれるというか、それで寝坊対策をしています。二度寝したなっていう自己満足を得るために毎日二度寝をしています。(笑)
Q:他にも仕事の前のルーティンはありますか?
朝ご飯は食べないで行きます。これは中学校くらいからでずっと朝ご飯は食べない生活をしています。二度寝するのもずっとですね。ギリギリまで寝たいっていうのがあるので。朝ご飯食べる時間があったら寝たいなというのが強いです。
Q:実際、二度寝は寝坊防止になってますか?
なってますね。でも朝起きるのは辛いです。(笑)
AM 8:00 仕事開始
作業中は音楽を聴いてモチベーションUP。
8時くらいから仕事開始です。イヤホンで音楽を聞きながら作業するというのがしょっちゅうです。
機械の音が大きくて耳栓をするのですが、耳栓がわりにイヤホンでモチベーションを上げるために音楽を聞きながらやっています。
Q:どんな音楽を聞かれますか?
バンド系が多いですね。あとは流行りの曲を聞いたり、いろんなのを聞いていますね。これといったアーティストっていうのはあまりいなくて。そのときそのときで聞いていますね。
Q:具体的な仕事内容を教えてください。
季節によって違うんですけど、今はネギの調整と収穫をしています。(※12月取材時)
収穫の時は収穫機の操縦をやったり、調整のときは選別と結束、箱詰めまでやっています。夏だと草刈りとか秋だと米の収穫とか、栽培に関わることは全般的にやっています。
Q:今やられているネギの調整や、収穫で自分が大事にしている作業やこだわりはありますか?
選別の作業でA品とB品という等級を決めます。A品の方が値段がいいです。
そのAとBの基準というのがあって、Aの方が綺麗で、真っ直ぐで葉っぱが何枚ついていて何センチ以上で…という厳しい規格があるので、それに沿ったのを選別できるように心がけています。
出荷先からのクレームがないように選別する、ちゃんと一本ずつ選別するっていうのを心がけていますね。
Q:最初の頃は大変だったんじゃないですか?
そうですね。規格を覚えるのが難しいというか、何センチ以上で葉っぱが何枚で真っ直ぐで、というのを一目で見て判断するっていうのに時間がかかってしまって。
それは慣れるまで大変でした。選別がよくないと箱詰めまでよくない、結局連鎖してしまいます。
自分のところで選別の見落としがあると消費者まで行ってしまうので、見落としがないように丁寧に選別するように心がけています。
Q:でも今はもうかなり慣れたんですね。
そうですね。選別作業にはだいぶ慣れてきました。
Q:そこの作業はずっと1人でやられているんですか?
基本1人ですけど、人が多いときは、もう1人社員さんが手伝いに来てくれたりしています。
Q:この仕事で一番大変なところはどこですか?
やっぱり自然相手なので、気候です。天気によって仕事内容がその日その日で変わってしまいます。一時間毎に晴れたり、雨が降ったりすると、その日のスケジュールが全部崩れてしまいます。晴れたからいざ採りにいこうと行ったら、また雨が降ってきたりとかがよくあります。
対策しようもないので、天気予報もこまめに見ているんですけど、はずれちゃうときもあったりして、そういうところが大変だなと思います。
Q:晴れたり、雨が降ったりする時は出て、戻って、出てみたいな感じになるんですか?
そういうふうにするんですけど、もう雨降ってもいいような格好で行ったり、本当にダメだなというときは別の作業をしたり…臨機応変に対応できるようにしています。最近は天気の変わりが激しくて大変です。
AM 12:00 昼休み
AM 13:00 仕事開始
Q:お昼は1時間くらい休憩して13時くらいに再開して。午前も、午後もだいたいいつも同じ業務なんですか?
そうですね。基本同じになるんですけど、午前中で全部ネギの調整が終わったら天気次第で午後から掘りに行ったりとか。
午後から出荷に行かないといけなかったりするので、出荷に行ったりしますね。状況に応じて別の作業をしたりしています。
Q:ちなみにお米の時期はどんなことをやられているんですか?
種をまいて育苗したり、機械で肥料散布したり、田植え、稲刈り栽培全般の作業をしています。
Q:お米の方で意識していることとかはありますか?
また天気のことになってしまうんですけど、お米は台風の影響を受けやすいので、台風の時期にはこまめに天気予報を見るように意識していますね。
Q:佐々木さんはネギの方を結構やっているんですね。
そうですね。今年は結構ネギのほうをやっている時間が多いです。お米も行ったんですけど、毎日というより田植えの時期とか稲刈りの時期とか。夏の時期は草刈りをしていました。
Q:ちなみに今年(※取材時2021年12月)はどんな感じなんですか?去年よりはいいとか、あまりよくないとか。
去年よりは良かったかなとは思いますが、まだ半分くらい掘っていないので、雪が降らないうちに収穫したいですね。
Q:もうそろそろやっていかないと…っていう感じですよね。
そうですね。天気を見て掘れるときは掘ってっていうのを繰り返していかないと。
雪が積もってしまうと機械で掘れなくなってしまうので。
Q:雪が積もってしまった場合はどうするんですか?
去年は手で掘ったりしました。今年は雪が降る前に機械で掘り切りたいです。
Q:やっぱりその年によって良い悪いの差が激しかったりするんですか?
そうですね。同じところに何回も植えていると連作障害というので、だんだん悪くなっていくんです。採れる量が減っていくみたいで、それがネギにもあって。
今年4年目の畑と2年目の畑を比べると、やっぱり2年目の畑の方が、採れる量が多かったりというのはあります。
4回植えているところは、次休んで、また新しいところに1回目として植えるとか、そういう対策もしていかないといけないので。
Q:1回休んでまた植えるのは大丈夫なんですか?
休んでから植えるとまた1回目みたいな感じになるので、またよくなります。
Q:なるほど。畑にも休憩が必要なんですね。今回はここは休んで、みたいなローテーションで回していくんですね。
そういうローテーションを組めるように来年からしていきたいなというのはありますね。
Q:元々農業の知識とかはあったんですか?
全くないです。知識がなかったのでとにかく作業を覚えて慣れることから始めました。 覚えるというよりは慣れるというのが多いです。機械使って慣れてとか、何日もやって慣れてっていうことが多いです。
PM 17:30 仕事終了
Q:そして1日はだいたい17時半ぐらいに仕事が終わるという感じですか?
そうですね。最近は17時半なんですけど、夏とかだと19時でも明るかったりするので18時とか18時半までやったりもしますね。
Q:忙しい時期だと1日中とかもあったりしますか?
あったりしますね。基本は17時半で終わるようにしているんですけど、どうしても終わらせたい作業があるときはちょっと長くやったりはします。
Q:ネギの一番忙しい時期はいつになるんですか?
今ですね。9月10月は稲刈りとネギとの作業を分けてやっていましたが、今はネギ一本なので雪が積もる前にとにかく掘り続けるので一番忙しい時期です。
PM 22:00 就寝。夢の中でもネギを収穫しているときがある。
お風呂入ってご飯食べて寝ます。日によって前後しますが22時くらいには寝るようにしてます。
Q:とても気になったんですけど、夢の中でもネギを収穫しているときもあるんですか?
そうですね。(笑)しょっちゅう見ますね。普通に働いているような夢も見るので。
それで疲れたなって朝起きるときもあるので時給発生してほしいなって思ったりもするんです。(笑)
「あれ、これ夢でも見たな」っていうネギを仕事中見つけることがあって、ネギに憑りつかれているなぁ。って(笑)
Q:それは相当ですね!(笑)まさに仕事人ですね!
Q:この仕事をしようと思った一番の決め手はありますか?
やっぱり最初に言ったことと同じなんですけど、社長が今のことだけじゃなくて、5年後10年後農業界がどうなっているとか、どうなっているから自分達がこういうことができるとか、計画をすごい立てていてその計画以上に今進んでいるような気がして。
高齢化が進んでいてもうできない、作れない年齢層の人たちが多かったりするので辞めていくスピードが早くなってきていて、やってくれないかっていう声がすごくかかるので。
やっぱり2年前に見据えていたことが、今ちゃんと起こっているなって実感できているので、その計画に惹かれたっていうのが大きいですね。
Q:やはり人手不足は多いのでしょうか?
そうですね。高齢化が進んでいて担い手が少なくなってきています。
Q:継承する人がいないっていう感じなんですか?
そうですね。いないですね。農業やろうとする若い人が少ないですね。
Q:ちなみに…佐々木さんは県外に出たい気持ちはありましたか?
ありました。やっぱり田舎が嫌だというのはあったので、東京とか行くと何でも揃うし何でもあるなっていうのがあって、夜でも明るいし遊ぶ場所もたくさんあるしやっぱり憧れていました。でも、農業していたからこそ知れた秋田の魅力もあったので秋田にいて正解だったなって今になって思います。
Q:佐々木さんにとってにかほ市とは?
自然が豊かで、自然を相手にしている自分としてはすごく景色が綺麗な田んぼがあったりとか、仕事中でも癒されるような景色を見ることができるので、魅力がたくさんある街だなと思います。
Q:「魅力がたくさんある街」とのことですが、ずっと住んでいて思うのか、それとも働き始めて改めて思いましたか?
働き始めて改めて思いました。当たり前だったので何も思わなかったんですけど、仕事していろんな田んぼとか畑に行ったりすると今まで見たことない角度から、海を見たり山を見たりすることが多くなりました。ここから見るとすごく綺麗だなとか、気づけることがたくさんありました。
そういうところで作業、仕事できることはいいことだなと思いますし、作ったお米とかをぜひ食べてほしいなと思いますね。
Q:仕事をはじめると新しい発見がありますよね。
農業の未来を担うキーマンだと感じさせる佐々木唯翔さん。
夢の中まで仕事をしているというエピソードは、仕事への熱意の表れだと思います! 佐々木唯翔さん、ありがとうございました!