こちらの記事は、『湯の台食堂 佐々木優作氏のルーティーン Vol.1』の続編になります。

秋田県にかほ市のラーメン屋、湯の台食堂を営む佐々木優作さん。今回はお店がオープンしてからのルーティンについてお聞きします!(現在のルーティンや仕込みに変化があります。※取材時2021年)

AM 11:00 オープン

Q:営業中に意識していることや、接客等でこだわっていることはありますか?

東京にいた頃との違いで言うと、東京で美味しいものを食べるためには1時間待つことが当たり前だったりします。私が東京にいた頃は、3時間待ちなんかもありました。それでも行列は夜まで絶えない状況でした。ちゃんと美味しいものを提供できるのであれば、作るのに時間がかかっても待ってもらえるのですが、ここはお昼休憩を利用して来る地元のお客さんが多いので、早く出そうということは気をつけています。もちろん雑にならないためにも自分自身の技術も大事なんですけど…。

そこは従業員一同で心がけています。平日の12時〜12時半のピークの時は、早く提供し、お客さんの休憩時間を少しでも削らないようにと意識しています。オーダー頂いたらすぐ作ることを意識しています。

Q:量も多く満足感が高い印象でしたが、そのあたりも意識されているのですか? 一杯で満足してもらえることを意識しています。あとは文化的に酒田(山形県の地区)や鶴岡(山形県の地区)の方は麺が多いので、ここも近いことから意識して麺の量を220gと設定しています。

Q:営業中に嬉しいことや、やりがいを感じる瞬間はいつですか?

どんぶりを見たときの笑顔のリアクションや、肉そばやチャーシュー飯を見たときの「何このボリューム!」というリアクションを見ると、自分の意図している反応が見られて嬉しい気持ちになります。

それと、食べ終わった後の「美味しかったです」「また来ます」は嬉しいなと感じます。実際にまた来てくれているので、それが実績となって繋がっていると感じます。

お客さんにちょっとした幸せをラーメンで届けられていることを感じられた時がやりがいに繋がります。

PM 15:00 クローズした後、片付け

クローズから片付けが2時間くらいですが、店舗が意外と広いので時間がかかります。片付けをしている最中にも仕込みをしていたりします。営業の為の仕込みをずっとしていますね。

PM 17:00 仕込み、買い出し

Q :優作さんの17時以降のルーティンについて教えてください。

日によって違うのですが、なんだかんだ仕込みをしています。空いた時間で、次の限定メニューの買い出しに行っています。 仕込みが終わっていれば、家に帰れるのですが、最近だとチャーシュー作りに時間がかかったりするので、そういう時はまたお店に戻ってきたりします。

PM 19:00 お店に戻り仕込み

Q:19時以降は何をされていますか?

最近だとお店に戻ってきて仕込みすることが多いですね。仕込み方も、ここ4年で色々変えてきていて、チャーシューは醤油だれで煮込んでそのまま提供していたのですが、今はチャーシューを焼く窯を作ってもらって焼いて作っています。

最初は炭だけでやって、その後はガスだけでやって…今はガスの上に炭を盛り付けて、火の先が出ないようにしています。火の先が出ると焼き加減にムラが出てしまうんです。

やっぱり美味しいもの作りたいっていうのと、そこにちょっとした変化があると毎日来ているお客さんも食べ飽きづらいし、自分自身が飽きちゃうとお客さんも飽きちゃうと思って。見た目は変わらないけど、ちょっとした変化っていうのは常に意識しています。

Q:チャーシューの仕込み方が変わったのはいつですか?

ここ最近3ヶ月くらいでちょこちょこ変えていますね。煮豚から焼き豚に変えました。(※取材時2021年)

本当のチャーシューというか…変化を加えながら常連さんを飽きさせないようにしています。

プロのスポーツ選手達も毎日同じことをするように、自分達もそうじゃないですか。意識しないと飽きが出てきてしまいます。だから自分を飽きさせないためでもあるし、より美味しいものを作っていれば自分もそれが面白くなるので、それも含めてですね。

Q:すごく忙しいスケジュールだと感じたんですが、睡眠時間はどのくらいですか?

23時くらいには寝て、6時間くらいは寝ています。東京にいた頃は、終電で帰って始発で行くとかもザラにありました。その頃は3時間〜4時間睡眠が当たり前になっていました。

Q:自分の自由な時間はいつ取られるのですか?

仕込み中は、ずっといじったりする訳ではないので、その合間にちょっとした休憩を入れたり、合間に自分の時間を取っています。

例えばYouTubeでラーメンに繋がるような動画を見たり、ラーメン以外でもこれからの成長の為にも、お金の勉強や情報を集めることもしています。

エンタメ系もちょくちょく見たりしますが、なるべく自分の為になるような動画を見るようにしたり本を読んだりもしています。本は眠くなってしまいますが。(笑)

事業に繋がる本は意識して読むようにしています。

Q:勉強をした上で今後の展開などあれば、可能な範囲で教えて欲しいです。

某企業の代表と一緒に『鶴泉荘』でやっていけたらと企んでいます。(笑)
(※鶴泉荘・・・湯の台食堂の向かいの宿泊施設)

モデルとしては、鶴岡にある『琴平荘』のような感じで、そこでは一日に500〜1000人くらいが全国から来ているという成功事例があります。ここでも同じように話題性を持ったものを作りたいと思います。

兄がお米を作っているので、親子丼みたいな丼ものだったり、地域の食材にこだわってやっていきたいです。

今後、ゆくゆくは海外にも挑戦したいと考えています。生きている内はずっと挑戦、ずっと勉強だと思っているので。

日本の人口は減ってきていますが、日本のラーメン屋さんが世界に出て成功している事例が多くあるのでやってみたいと思っています。

ですが、繋がりがないと簡単にお店が奪われてしまうので、繋がりを持ちながら焦らずにやっていきたいと思います。修行先もカナダの出店を考えているらしく、実際にお店を出したら視察という手伝いに行ったりしたいと思っています。

Q:今後の取り組みが楽しみです!

Q:ラーメンを作る時に心がけていることを教えてください。

心がけていることは一杯の満足度と、一回食べて「あ〜満足した〜、もういいや。」ではなく、「もう一回食べたい!」と思ったり、お店を出た時に「また来よう」と思ってもらえるようにしています。

次にラーメンを食べたくてイメージした時に、湯の台のラーメンが頭の中に浮かぶといいなって思いますね。

Q:鳥海山のすぐ近くというこの土地ならではのこだわりはありますか?

水がいいからこそ美味しい麺だったり、美味しいスープを作れています。本当は、栄養分が多くある美味しい水って出汁が出づらかったり、製麺が難しかったりします。

ですが、水が良いとトータル的に美味しく感じることができます。都内のお店だと、逆浸透圧をかけて真水に戻して、粒子を細かくしてから出汁を取りやすくするところもあったりします。

水が良いところは麺が美味しかったりするので、ここならではの強みだと感じます。

Q:優作さんにとってラーメンの魅力とはなんですか?

ずっと食べていて飽きないところです。自分で作って、更にそのラーメンが好きになりました。ラーメンが嫌になることは修行時代からなかったです。むしろ毎日ラーメンを食べていました。

それこそご飯のような当たり前にある身近な存在だと感じています。もちろんご飯も好きですが。(笑)

Q:では最後の質問です。優作さんにとってのにかほ市とは?

この歳になって感じることは『食材の宝庫』だと感じます。それに加えて『景色の素晴らしさ』は今まで居た時は感じていなかったので、この歳になってにかほ市に帰ってきて、改めて自然の良さに気づくことができました。

食材はまだまだ知らないこともあるので、終わることがないのではないのかなと感じます。アレンジをしながらラーメンに活かしていくことも展開としては考えています。

ラーメンへの想いだけではなく、食べる人のことを想いラーメンを作られているんだなと感じました。いつもたくさんの人で賑わっている店内を見ると、また来たいと思う一杯が湯の台食堂にはあると思っています。
2023年の現在、海外へ二度行っており(取材時2021年)、引き続き海外や関東で開催されるラーメンイベントに出店する予定があるそうです。満足することなく日々精進し、有言実行で夢を叶え、世界に挑戦する姿は今後も目が離せません。佐々木優作さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

佐々木優作

秋田県にかほ市にある無化調ラーメン店『湯の台食堂』の店主。東京のラーメン店で勤務の後、独立。旬の食材や、地元の食材を使ったラーメンを提供している。