今回は、にかほ市で漁師として活躍している佐藤正勝さんにインタビューしました。松宝丸(しょうほうまる)の船長としての1日ルーティンをお聞きしました!

Q:現在の活動を教えてください。

船の名前は松宝丸(しょうほうまる)で沖合底引きと夏は素潜り漁をやっています。獲れる魚は海底深海に住む魚で、今の時期(※取材時 1/22現在)ならタラや甘海老、本ズワイガニが獲れます。海底に住む海産物です。

Q:夏の素潜りでは何を獲りますか?

夏の素潜りではアワビ、岩牡蠣や海藻類が獲れます。素潜りで潜る人は15mくらい潜るけど私は大体5m〜10mくらい潜ります。

半日は潜っているので、朝から昼くらいまで、最近はアワビが獲れないからサザエを獲ったりしてます。

Q:漁師のお仕事ですが、やはり大変じゃないですか?

大変です。船長になったのは8年前で、父が船主といった形で漁を行っています。

現在はEコマースを自分でやっています。その反響があって、全国の人に食べてもらえることが嬉しいです。今はこの商売が一番面白いですね。息子に跡を継いで欲しいけど継がないと思いますね。

佐藤正勝さん

Q:これまでのご経歴や、どのような経緯で漁師になられたのですか?

漁師の跡取りだったので、小さい頃から親に「お前は漁師になるのだ」とずっと言われて続けてきたのが嫌で反発していました。私が就職する時期は当時バブルだったので一次産業を継ぐ人が本当にいませんでした。

そこで高校を卒業して、専門学校に行こうとしたが、祖父と喧嘩していたこともあり、就職の道を選びました。

就職先はガソリンスタンドを主にしている、3つくらいの職種をやっている会社に勤めました。最初はスタンドマンから始まり、毎月10.20.30日と0の付く日は夜中の12まで会議があったり、黒板に売上表が並び、支店3つほどで競い合い、売り上げを上げないと叩かれるほどの現場にいました。

Q:一度就職されたんですね。

売り上げを上げるために高卒でも新卒でもすぐに担当を決められて、当時自分はバッテリー器等の販売の責任者をしていた。当時そこで営業で1番を取ったのですが、その時の社長から「よく頑張った」と握手を求められた時に、「ここでどんなに頑張ってもこの会社の社長になれるわけではない」と感じました。

そんな時に家業がトラブルに見舞われて、大変な時が重なり、会社勤めで他でやるよりも、自分で商売を始めようかなと思って、家業を継ぐことを決意しました。なのでサラリーマン時代は約1年半ですね。

そこから船に乗った当初は大変でした。なので今の若い人が大変と言うのも十分わかります。ですが漁師ほど頑張れば頑張った分だけ直で自分に返ってくる仕事はそんなにないので、とてもやりがいもあるし心地良いと感じる。

Q:サラリーマンから漁師になる時に不安はありませんでしたか?

全部不安でした。当時の乗組員は親より年上の人しかいませんでした。

なのでコミュニケーションが取れないことが辛かったです。また、当時は魚の生臭いのが嫌いで、食べなかったのですが、最初船に乗った時に船が幕漁(溢れるほどの魚が獲れた)だった時はタオルを鼻に巻いて匂いを防いでいました。逆に船のガソリンの匂いなんかは前職のおかげで大丈夫でした。(笑)

ただ、船酔いが1年ちょっと続いて、吐いたりするのは3ヶ月くらいだったのですが、だんだん食べる物を家から持ってこないで獲れた物を乗組員全員で食べるようになった時に調理方法などを乗組員と話すことでコミュニケーションができてきて、そこで初めて魚が美味いことに気付いた。そこから魚は食べれるようになりました。

ルーティン

AM 00:50 起床

家から近いので集合の15分前にアラームをセットします。

Q:0時50分だと深夜ですね。起きるのは辛くないですか?

漁師なりたての頃は、眠くて大変でした。ですが体がだんだん慣れて、睡眠時間が短くなりました。

大体、3〜4時間寝て仕事をすることが、癖になってくると1日の間に色々なことができて、例えば趣味のDIYをやったりすることもできますね。

AM 1:00 出港。漁場へ。灯台の光をチェックする

家から船に行くまでに灯台の光が出ているかをチェックして、赤、青、普通の灯台のランプをチェックしないと船に行くことができない。理由としては真っ暗で見えないから。

佐藤正勝さんが乗っている船『松宝丸』(しょうほうまる)

出航時、船霊様に挨拶をする

船霊様は船の神様で、必ず船の中に神棚があって、それと、弁天様という港の口を守ってる神社がある。

それと達磨様といって、漁港の近くにある大きな石があって、そこに頭を下げて、手を合わせてから出航します。

Q:なるほど、船霊様がいらっしゃるんですね。なぜ手を合わせるのですか?

船中無難、大漁満足を願って行います。船の上で事故がなく、きちんと漁ができることを願います。毎日行うので自分なりにけじめをつける感じで気持ちが引き締まると感じる。

AM 2:30 漁場に到着。漁開始。乗組員に寝ぼけていないか確認

寝ぼけている人を使うと危ないことや、もし、乗組員が海に落ちても船長の責任になる。

なので寝ぼけている人に対しては目を覚ますためにもにゲキを飛ばします。

体調悪い人はすぐに分かるので、最初に声をかける。「どっか具合悪いのか?」とか。

船から出る時はバタバタしているので見れないが、仕事が始まる前は動きなどで確認をします。体調悪い人は大体カッパを被っているのでわかりやすいです。(笑)

乗組員は全部で2人いて、私と3人で漁をしている。

Q:船長の優しさと凄さを感じるルーティンですね。乗組員の方は船長の一声があるのとないのとではモチベーションが大きく変わりそうですね。

Q:出航から漁場に着くまで2時間半くらいありますが、その間は何をしていますか?

その間はレーダーで漁場まで設定しているので、運転席に座って10分でアラームをセットして、10分で行ける距離まで何も異常がなかったらその間仮眠を取ることを繰り返しています。

大体2時間くらいはこれを繰り返しています。

他の船長さんは30分とか1時間とか寝るらしいが自分は絶対できない。若い時はその寝ている時間でプロペラに物を挟んだりして止まるなど怖い経験をしているのでできませんね。

そうなると他の船に助けを呼んで、帰るしかなくなり、仕事にならないので細心の注意を払って操縦しています。

漁の開始

底引き漁は1日6回〜7回網をあげます。網を1回〜2回ほどあげたところで朝食をとる。

ここではその日取れた魚で味噌汁を作る。一番下の人が作るルールになっていて、どんな魚がいるのか?どんな味なのか?を知る機会になります。作らないとわからないので勉強するためにも作ってもらいます。ここではご飯を一緒に囲むのでコミュニケーションが取れます。

昼ご飯は忙しいのでカップ麺を食べます。

PM 13:30   帰港

魚を積める作業を帰港中に行い、帰ってきてからは荷下ろしを行う。すぐに漁協に魚を出します。

帰港後は次の日の準備を行います。エンジンチェック等。またポケットマルシェというECをやっているので予約チェックをして発送したりもします。

Q:ポケットマルシェでは日本全国から予約が来ますか?

この前は故郷返礼品として沖縄から注文がありました。コロナで動けない人にとって遠い場所の食べ物は価値があるのかと思います。

漁師 佐藤正勝氏のルーティーン Vol.2 に続く。

Vol.2では、帰港してからのルーティンと、漁業の将来やにかほ市への想いをインタビューさせて頂きます。

ぜひ続編もご覧ください!

佐藤正勝さんは、秋田県にかほ市で活躍する漁師と、漁師の魅力をぎゅっと凝縮した図鑑「漁師図鑑」にも掲載されています。

Webサイト:https://www.ryoushizukan.com
漁師図鑑の記事はこちら:https://tegake.com/release3/

この記事を書いた人

佐藤正勝

にかほ市で漁師として活躍している佐藤正勝(さとうまさかつ)さん。松宝丸(しょうほうまる)の船長として活躍している。