今回は、東北を中心に写真家として活躍されている小川惇さんにインタビューしました。SNSで3万人以上のフォロワーを抱え、東北で撮影された風景写真を各所で発信し、活躍されています。そんな小川さんに、写真撮影においての「すべし5ヶ条」を伺います。

Q:小川惇さんのご経歴と現在どんな活動をしているか教えてください。

今は写真家として風景写真を中心に活動しています。

Q:どういった経緯で写真家になろうと思ったんですか?

気づいたらなっていました。(笑)なろうと思ってなってないです。

Q:元々やろうと思ってたわけではないんですか?

そうです。なりたいとかじゃなく、なってました。気づいたら仕事になっていました。(笑)

すべし1ヶ条目

「五感を研ぎ澄ますべし。」

人間の感情というのは五感によってなされるものです。

その五感を、にかほ市の自然の中で遊ぶことで鍛えられると思っています。俺が言う五感っていうのは見たりっていうところかな。自然の音を聞いたり、匂いとか触ったりとか、そういうことをまず自然の中でやっていくっていうのは必要だと思いますね。

すべし2ヶ条目

写真家なので、2つ目は「写真を撮るべし。」

そういった自然の中で五感を感じながら、遊んでいる中でいいなと思ったシーンを写真とか映像、スマホで動画とか撮ってもいいし、どんどん収めていく。そうすると季節とか被写体の形とか色にちょっと敏感になってくると思います。

意識するようになるので、そういった変化も楽しみながらどんどん撮っていきましょう。

Q:なるほど。たくさん撮るという行動が大切なんですね。

Q:惇さんのメインは風景ですよね。

今は風景だね。

Q:”人”も撮影されますか?

人を撮ってた時期もあるし、撮ります。でも知らない人を撮るのが苦手です。知らないから。(笑)

友達とか応援したい人とかを撮るのはすごく楽しいです。いきなり知らない人を撮るっていうのは難しいよね。だって知らないから。(笑)

Q:それが理由で風景だったんですか?それとはまた別ですか?

対人はまた別なのかもね。あまり人に魅力を感じないので、あまり撮ろうと思わないです。(笑)

すべし3ヶ条目

「SNSで発信すべし。」

撮った写真とか動画をどんどんSNSにアウトプットしていってください。

人との交流が中心なので、色んな人と繋がって共有していってほしいです。これが3つ目です。

Q:惇さんも他の人の写真を調べたりしますか?

そうですね。気になったのは調べるし、絡みます。それは国内にとどまらず世界の人です。

SNSは結構チェックしてます。すごく勉強させてもらってます。見る側もだし、見られる側にもなろうよっていう話ですね。

すべし4ヶ条目

「感性を磨くべし。」

さっきの1ヶ条目から3ヶ条目を繰り返すことです。

ループして繰り返すことでクリエイティブな思考になれると思います。クリエイティブっていうのは想像、イメージするっていう力だとか、ゼロから新たに作るっていう想像する力とかそういったものがついてくるんじゃないかなと思うんですよ。これが4つ目です。

すべ5ヶ条目

最後は「達人になるべし。」

1ヶ条目から4ヶ条目までをさらに繰り返すことです。(笑)

ひたすら1ヶ条目から4ヶ条目を繰り返します。そうしてずっとやっていくと『達人の領域』っていうのがあって、他の人にはない自分だけの世界観っていうのを持つことができます。そういうのを持つとすごい良いってわけじゃないけど、面白いかなって思ってます。

Q:ここは負けないみたいなのはありますか?

さっきの達人の領域、自分の世界観っていうところではそうかもしれないです。負けないというか真似できないでしょうし。

Q:写真家の方は皆さんそういうイメージがあります。

そうですね。写真家はその領域だと思います。オリジナル、クリエイティブとか飛び抜けてる人がやっぱり写真家になれるのかなと思います。

Q:惇さんが写真を撮るうえでここを一番大事にしているとか、ここは譲れないポイントみたいなのはありますか?

やっぱりさっき言った感性です。自分の感覚を大事にしてます。だから適当にやってるってことです。(笑)あまり考えないでその場を楽しむっていうか、あまり型にはめない。そういう意味で適当にやってます。あまり変なことを考えないです。すごい適当ですよ、写真撮るの。

小川惇さんが撮影した写真

Q:ちなみに…初心者の方とかにアドバイスはありますか?

初心者はまず1か条目をずっとやってください。(笑)その後に1ヶ条目、2ヶ条目、3ヶ条目を繰り返してください。本当にそれだけ。

Q:やっぱりSNSの発信は大事なんですね。

出さないとダメ、絶対。それは多分、写真じゃなくても全部です。みんな自分の中で出さないで終わってると思います。それじゃだめでしょ。

だから、ちゃんと自分の中で完成して見せてってところまでがひとつかな。それをずっと繰り返していかないと成長していかないと思います。自分だけじゃなくて周りの反応とかも見ながらじゃないかなと思います。

Q:そのSNSの発信が何かに結びつきました!みたいなのはありますか?

今やってる写真家というか、仕事にはちゃんと繋がってます。

例えば最近(※取材時2022年1月)だと福島に行きました。SNSで、会いたいって言ってくれて、全然会ったことのない人と会いました。

SNSで連絡や反応をくれるので、県外に行っても遊んでくれる人はいます。それって結構すごいことだと思ってます。そういう意味では全国の人と交流すると最新の情報も入るし、何かと便利だよ。どんどんSNSで人と交流しておいた方が絶対いいと思います。

Q:写真を通して今後何かやりたいこととかはありますか?

これ難しいなあ。分かんない。(笑)俺は今1ヶ条目〜5ヶ条目を繰り返してます。

そのうち6ヶ条目も出るんじゃないかなと思ってます。それが今の目標かもしれないです。

やりたいこと、次のステップとしては、もうちょっといろんな形で”発表”したいと思ってます。いろんな形で、もうちょっと自分のやってることをかっこよく見せれたらいいなと思います。あまり目標とかはないです。(笑)

Q:以前、スマホでも綺麗に写真が撮れるツアーみたいなのを実施されていたかと思いますが、そういったツアーの開催は今後もされますか?

それも分からないです。(笑) やれって言われたらやります。

ツアーのようなものって、1人でやらないといけないんです。あんまり外部と関わると、ぶれちゃうんですよ。自分のやりたいことがあるのに。

ある程度自分の芯というか核がぶれないようにすることが必要です。これが難しいのかもなー。

あと、『繰り返し』っていうけど続けることが最大の当たり前であって、一番難関なんですよ。絶対続けてください。俺はだいたい10年くらいかな、このSNS発信。これが超難しいです。

大体がやめる、続かないです。「結果が出ない」って言って。

でも、そういうのをある程度やった人じゃないと4ヶ条目(感性を磨く)とか5ヶ条目(達人になる)にはならないんじゃないかな。この辺りまでいくと、やっぱり仕事に繋がったりすると思います。

SNSもフォロワーがたくさんいるとか、ここまでいくと本当に便利です。仕事にもなるし、分からないことがあっても最新の情報が入るし、助けてくれる人も増えるし。デメリットもあるけど、今の時代必須だと思います。

Q:では最後の質問ですが、惇さんにとってにかほ市とは何ですか?

にかほ市は自然のアトリエ。アトリエっていうのは絵描きさんの工房だとか、作業場みたいなイメージかな。俺は写真家なのでそう名付けました。


写真家として、ご自身が「すべし」項目を継続されていて、写真へのまっすぐな意志を感じます。個人の発信が重要な時代の今、必要とされることをたくさん教えていただきました。
自然豊かなにかほ市が素敵な写真として発信されることもとても嬉しいですね。小川惇さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

小川惇

由利本荘市やにかほ市などをはじめとした秋田県の風景写真を撮影しているカメラマン。星のソムリエ ® (星空準案内人) の資格を有している。東京カメラ部2020フォトコンテスト、FUN FIND東北×東京カメラ部 フォトコンテストなど数々のフォトコンテストで入賞した経歴を持つ。