今回は、にかほ市内でミツバチ農家を営む伊東 善煇さんにインタビューしました!
飼育の難しいミツバチ農家を継承した想いとは?

Q:はじめにご経歴を教えてください。

前は市役所の職員で、退職と同時にミツバチ農家を4人で始めました。
現在で7年ぐらいミツバチ農家をやっています。

Q:現在は、ミツバチ農家さんとしてどういう活動をされているとの事ですが、活動内容を教えてください。

セイヨウミツバチ、それからニホンミツバチと二つあるんだけど、我々は日本古来からの在来種をやっています。

ただ西洋と違って、 量が少ないのと飼うのは大変難しいです。

だから、我々は今、4人でやってるんだけど、4人でやって初めてこういう商品(蜂蜜)ができるかなって思ってます。一般の人は、なかなか数を出せないと思います。なかなか増えなくて…。 逃避癖があるし、暑さにも弱いし移動もできないので。

Q:ミツバチの繁殖が中心なんですね。他に商品として制作されているものはありますか?

今のところ、蜂蜜だけですね。どこかから要望がもらえれば、他の商品もやりたいなと思います。  

Q:市役所を退職してその後、今のお仕事に就こうと思ったきっかけや理由を教えてください。

妻の親父さんがやってたのを私が手伝っていました。

Q:なるほど。元々奥様のお父様がやってらっしゃったんですね。

でもこういう『商売』じゃなくて、ただミツバチを飼ってただけだな。 

Q:蜂って飼えるんですね。蜂蜜とかはとらず飼うだけだったんでしょうか。

蜂蜜はとるけれど、自分の親戚などに分けているだけでした。それを我々が入って、今こういう風に商品にしてます。

Q: ここまで頑張ろうって思ったような、そういう思いやきっかけはありますか?

やっぱり『商売にするため』だよな。遊びじゃなくて、商売にするためにみんなで研究したり、『会』に入ってみたり。

Q:『会』に入ってみたりっていうのは、どういう会なんですか?

『鳥海山ニホンミツバチの会』だな。今は三十人ぐらい?いるのかな。

Q:『鳥海山ニホンミツバチの会』は、にかほ市以外の地域でも活動している会ですか?

名前に『鳥海山』ってついてて、本当は由利本荘市・仁賀保地区なんですが、全県の会員がいます。横手市から男鹿市まで色々です。

Q: 他の方と交流されたりするんですか?

全くしてないんです。『会』には出ますけども。 

年に4回ぐらい会議があるので、そういう時に顔を合わせて情報を交換したり、飼育の勉強をしてます。

『鳥海山ニホンミツバチの会』っていってもやっぱり、商売をやる人間じゃなくて、個人でやってる人間が多いです。ほとんどが個人で飼ってますね。

Q:商品を出し始めたのはいつ頃からでしたか?

始めてすぐでしたね。始めてから3年ぐらいです。



商品の蜂蜜

Q:始めた当初から商品化したいっていう気持ちで取り組んでいたんですか?

それはもちろんです。

Q:商品化した蜂蜜はどこの場所とかで販売されてますか? 

道の駅や、東京都にある『あきたショップ』です。


Q:時間があるときはずっとミツバチの繁殖の活動ですか?

1ヶ月に2回ぐらいかな。集まって作業するっていう感じです。

Q:意外と少ないですね。毎日のようにやっているのかなと思っていました。

決まった日程は1ヶ月に二回で、その他は蜜を取ったり、瓶詰めをやったり。
期間によって忙しいときもありますけど、冬は何にもないですね。

Q:巣箱の掃除はどれぐらいの頻度で行ってるんですか?

1か月に2回ぐらいです。メンバーが集まって掃除するのは1か月に2回。決まった日にやってます。あとそれ以外は個人でちょくちょく見に行ったりとかします。

Q:防護服は着るんでしょうか? 

箱を掃除したり、蜜を取ったりする時は、防護服を着るけど、ただそこに近づくだけだと何も着ないです。

Q:蜂に刺されたことはありますか? 

しょっちゅうだよなあ(笑)

蜂さんは、一度刺しちゃうと死んじゃうんですよ。

Q: 針が取れて死んじゃうんですよね。

Q:蜂同士は喧嘩しないんでしょうか?

しないんじゃないかな?花が少なくなって、取れる花の蜜の量が少なくなってくると、喧嘩 するっていう場合もあるみたいですね。 

ターニングポイント

Q:ミツバチ農家をやるにあたってターニングポイントや分岐点はありますか? 

鳥海山ニホンミツバチの会の中にいる十何年もやってるような先輩がいるんだけども、「蜂が増えない。商売にならない。」って言っていて、じゃあ我々は商売にしてみようと思いはじめました。

Q:そういう難しい中でもやってみようっていうことだったんですね。

Q:今までこの仕事をしてきた中で大変だったことや、現在大変なことはありますか? 

やっぱり物が売れないって大変だし、作って売れないことが大変です。
あとは、育て方が難しいことです。暑さでもダメになってしまうし、スズメバチに食べられてしまうので。前はキツツキ、テンにもやられました。

Q:活動をしていく中で、どんな想いで取り組まれていますか?

自然環境やミツバチを守るためにも、いろんな花を植えてます。ミツバチが訪花する花を色々植えてますよね。

Q:好きな花があるんですね。

花によって蜜の香りも変わってくるし、色合いも変わってくるし、味わいも変わってきます。それは花、独特の香りっていうのはあるね。

我々がつくっているのは『百花蜜』といって、一つの花の蜜じゃなく、いろいろな物が混ざってます。要は、ブレンドの蜜です。 濃密で濃い香りと味がする蜜です。

Q:色が濃いですね。よく見る蜂蜜はもっと透き通ってますよね。

Q:蜂蜜を採る時期とかによって味が違うんでしょうか?

全然違います。とる場所でも変わるし、同じ箱でも味が違います。

Q:一年に何回ぐらいとるのか決まっていますか?

大体一回。 だから一回も取らない箱もあります。冬を越す分の蜜は、蜂さんの方に残しておいて、冬を越す以外の余った分、その分の蜂蜜をもらってます。

Q:とる時期は何月ごろでしょうか?

毎年8月から9月頃かな。だいたい量がたまったらとってます。

Q:一回に取れる量はどれぐらいですか?

 大体4キロか5キロぐらいです。

Q:蜂蜜を採取する時に気を付けることはありますか? 

採る巣の『蜜蓋』っていうのがあって、それに綺麗に蜜が入っているかっていうのを気をつけてます。

Q: 冬の間ミツバチは、どんな感じに過ごしてるんですか?

そのまま箱の中にいますね。

Q:ずっと箱で冬を越すんですか? 

そうですね。

Q:ニホンミツバチって、完全に外で飼われてる状態ですよね。温度管理が大変そうですが、何かしているのでしょうか?

暑すぎる場合は『簾』をかけてやったり、なるべく木の下や、風通しの良いところに置いてやったりしてます。寒いなっていう時はビニール巻いて、あとそのままです。

Q:ミツバチを飼うときに、巣箱を作ってらっしゃると思うんですけど、勝手に他の場所に移動してしまうことはないんでしょうか?

逃げるのはしょっちゅうあるな。何が機嫌悪いのかわからないけど。

Q:巣箱が空になったりっていうこともあるんですか?

あるある。 ただ春は、前の親(女王蜂)が子を持ったら、親(女王蜂)が出ていって、次の親(女王蜂)が生まれたら、前の親が出て…っていうのを繰り返します。

Q:前の親っていうのは、死んじゃうんですかね…。 

新しい場所に行くよ。それを捕まえて増やしていきます。箱に自然に入ってきます。

Q:蜂が繁殖してる場所は1か所ですか?

7か所ぐらいあります。

Q:繁殖場所を選ぶための基準や目安はあるんですか?

やっぱり『使える場所』。勝手に使えるって言い方は変だけど、どこにでも箱を置けるっていうもんでもないですよね。やっぱり自分の土地とか、他人の土地でも許可をもらえた場所です。なかなか置ける場所は少ないですね。

Q:自然はいっぱいありますけど、なかなか蜂の箱を置けるとなるとないですよね。 

セイヨウミツバチみたいに、広々した場所に置けるようなものであればいいんだろうけども、ニホンミツバチは熱さに弱いから。日陰があったり水があるようなところや、涼しいところでないと置けないので、色々と条件がありますね。

Q: 条件はやっぱりありますよね。もし良ければ何個かあれば教えていただいてもいいですか? 

涼しいところ、 あんまり風の吹くところもダメだ。訪花する花があるところ、『そば』の花が咲くとか、桜の花とか…。花がいっぱいあるのが目安だな。

大木の下とか雑木林が近くにある、日陰になるっていう感じのところとかかな…。やっぱり水があるってことはいいですね。

Q:秋田県やにかほ市はミツバチを飼うのに適した環境でしょうか?

適してるんじゃないかなあ。他は雪がいっぱい降るけど、にかほ市はあまり降らないから。

自然が豊かな場所に置いてある巣箱

Q:現在で7年続けているミツバチ農家を次の世代に継承などは考えられていますか?

我々が年齢でダメになった時に誰かがやるって言ったら、それはいくらでもやってほしいと思ってます。結構、年配になってもできる仕事だとは思います。

Q:最後の質問です。あなたにとってにかほ市とはどういう場所ですか?

山菜とりや釣りの趣味ができて、やっぱり自然は良いところだと思うなあ。
雪もそんなに降らないし、山あり、海ありっていうところがいいなと思います。生まれ育った場所なので、ずっと自然と共に生きてきましたね。



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・道の駅象潟

・道の駅吹浦

・道の駅鳥海 ふらっと

・さんねむ温泉

・陣屋

・金浦温泉

・東京アンテナショップ

・詩の国秋田

価格

販売場所で異なります。


※参考
道の駅象潟の価格

80g・・・1015円

200g・・・2430円

この記事を書いた人

伊東善煇