今回は金浦地域から釜ヶ台番楽を継承し、釜ヶ台番楽保存会で活躍されている我妻颯(あづまそう)さんにインタビューをしました。
釜ヶ台番楽についてや、若くしてどんな想いで文化を守られているのか伺います。

Q:ご経歴と現在どんな活動をしているか教えてください。

釜ヶ台番楽保存会に入って2年目です。現在は練習をメインにやっていて、3つの演目を練習しています。

Q:釜ヶ台番楽保存会に入って2年目ということなのですが、大変なことはありますか?

練習始めは舞の流れを掴むのが大変です。お囃子の太鼓やリズムに合わせて舞う必要があります。
一応音が舞に合わせるとはなっているのですが、太鼓や笛も演奏する人が変わると、その人のリズムがあるので、舞手も臨機応変に合わせなければいけません。

Q:保存会の中でも若い方だと思うのですが、同年代で番楽を継承している人はいますか?

1人います。

Q:若さ故の苦労はありますか?

特に感じないですね。みなさん教えてくれる時にすごく丁寧に教えてくれるので。

Q:釜ヶ台番楽保存会に年齢制限はあるんですか?

制限はないと思います。

Q:釜ヶ台番楽を始めようと思ったきっかけはなんですか?

金浦出身なんですけど、釜ヶ台に親戚がいるんです。毎年お盆に親戚の家に集まって、番楽を見に来た時にかっこいいな〜、いつかやりたいな〜と思っていました。

Q:それはどのくらいの時期なんですか?

小学1年生の時に見た記憶があるのでそのくらいですね。

Q:釜ヶ台番楽をかっこいいと思った理由を教えてください。

小さい頃だったので理由などは覚えていないのですが、だんだん歳を重ねて見ているうちに動きにメリハリがあって面白いなっていう感じでした。

”4人空臼(からうす)”って言う舞は、ゆっくりだったり早くなったり緩急があってすごい面白いなって思います。

我妻颯(あづまそう)さん

Q:演目は全部でどのくらいあるんですか?

釜ヶ台番楽は18演目あります。

Q:18演目は多いですね。それはメンバーで振り分けているんですか?

やりたいのがあれば練習していくみたいな感じです。

Q:見ている側だった時と、実際にやる側になった時のギャップなどはありましたか?

ありましたね。動きが思っていたより難しかったです。基本の姿勢を内股にしないといけないというのがあってそれが難しいです。

Q:どのくらい練習するんですか?

練習するのは、7月中頃からお盆前までの1ヶ月くらいですね。会館に集まって練習するのですが、自分は家でも練習しています。動画を見て少し動いて見たりなどしています。

Q:舞1つ覚えるのにかかる期間はあるんですか?

昔は師匠の元から卒業するのに3年ぐらいかかったらしいです。今は大体形を覚えれば舞わせてもらえます。

Q:ステージに立って舞ったことはありますか?

5回くらいステージに立たせてもらいました。主に1つの舞を中心に舞いました。

Q:通常のステージの場合18演目を行うのですか?

そうですね。全部の演目を行うのに約3時間ほど行います。お盆だと7時ごろに始まって10時ごろに終わります。

Q:一つの演目は何分ぐらいですか?

一番短いので4分。今ある演目の中で長いのは20分くらいですね。

Q:20分は結構長いですね。

Q:舞は一演目に対して、1人が舞うんですか?

演目によって違いはあるのですが、一番多いので5人ほどが舞います。舞というより、どちらかと言えばアドリブを含めた娯楽みたいな感じで、ステージに座って楽しんでるみたいな感じですが。

文化を継承するターニングポイントとは

Q:なぜ釜ヶ台番楽を継承しようと思ったのですか?

担い手不足とか、後継者不足とかあるんですが、実は中学生の頃一回釜ヶ台番楽に入るのをやめようと思った時期がありました。

部活が忙しくてイベントにもいけなくて縁がないのかなと思い諦めていたんです。でも、高校1年生の時に改めて見て「やっぱりかっこいいな」と感じました。

高校1年生の冬に部活をやめてからは、1人で由利本荘市や秋田市での公演を見に行ったりとずっとストーカーみたいに追いかけてましたね。(笑)

Q:惹かれるものがあったんですね。

Q:保存会に入ろうと思ったきっかけはなんですか?

高校一年生の終わり頃に、”にかほっと”で番楽の衣装を着れる体験会があり、それに行ったのがきっかけです。太鼓なども叩かせてもらってすごい楽しくて入りたいって思いが強くなりました。

そのイベントがコロナ禍になるまで毎年のようにあって、全部参加して、やっぱり面白いということで入る決意をしました。

Q:どうやって保存会に入ったんですか?

2020年の8月15日なんですが、悪魔祓いと言う行事があるんですよ。その時に親戚の家で集まってご飯を食べていた時に、「明日悪魔祓いあるんだ」と言われ、見に行きたいと伝えたところ、保存会の一番偉い人に連絡とってくれてそれを見に行ったのがきっかけでした。

Q:入ったのは高校を卒業してからですか?

そうですね。卒業して迷わず入りました。

Q:迷わず!それだけ魅力があるんですね!

『我妻颯氏の釜ヶ台番楽への想い  Vol.2』へ続く。
続編では、釜ヶ台番楽の将来の展望など沢山の想いを聞かせていただきました。ぜひご覧ください!

この記事を書いた人

我妻颯

金浦地域から釜ヶ台番楽を継承し、釜ヶ台番楽保存会で活躍されている。若くして文化を継承し、文化の魅力発信を行なっている。