以前文化人で取材した齋藤朝次郎(ともじろう)さんが所属する鳥海山日立舞のお盆公演(※2023年8月15日)にお邪魔しました。

過去の記事はコチラから

齋藤朝次郎さんの記事:https://tegake.com/bunka-5/

−鳥海山日立舞の歴史

鳥海山日立舞は、横岡地区に伝わる番楽で、横岡獅子舞、横岡番楽とも言うようです。今から約380年前に矢島領主の生駒氏の番楽を矢島の若者たちが伝えたと言われており、現在は18演目(※普段は16演目を公演)継承されています。また、由利本荘市鳥海町の下百宅(しもももやけ)地域が横岡の若者たちに請われて伝授したとも言われており、これを裏付けるように横岡、下百宅の両方で同じ伝承があることから、本海流の系譜を引くものであろうと思われます。
​​​​第二次世界大戦の最中に一度途絶えましたが、戦後の昭和22年(1947年)に復活し、昭和39年には「秋田県指定無形民俗文化財」に指定されました。
   

−鳥海山日立舞の紹介

現在保存会の人数は10代〜80代まで30名程度が所属しています。主な公演日は、お盆公演(8月13日、8月15日)、9月1日の神送りの3日間の開催だそうです。

−地図、アクセス

開催場所は、横岡自治会館前に特設ステージを準備し、屋外で舞われます。

住所:〒018-0151 秋田県にかほ市象潟町横岡前田56−1

−開演

集落の方々は、時間になると続々と増えてきました。

横岡集落でゲストハウス麓〼を営むベントスの二人は出店で地域を盛り上げていました。

会館前の特設ステージに照明があたり、まるでお祭りのような雰囲気でした。

子どもたちにも人気で、一番前に座り、じっくりと番楽を楽しんでおりました。老若男女問わず集まることができる娯楽の場は、どこの地域を見ても落ち着いた温かい雰囲気です。(3日連続番楽取材にきているため、しみじみ感じます。)

鳥海山日立舞の特徴は小滝番楽と同様に演目によって太鼓のバチの太さを使い分けることです。テンポが速い細バチの「三拍子」の演目とテンポが遅い太バチの「五拍子」があります。

神歌も小滝番楽と似ているところがありました。また、小滝番楽は昔「日山舞」とも言われていたようで、「日立舞」とも集落が近いという点でも何か関係しているのかもしれませんね。奥が深い。

他地域と同様に作法である『四方固め(東西南北の四方向に向かって舞いをする)』を行なっていました。

その他にもいろんな演目がありました。

−舞の紹介(一部)

『番楽』

父親の舞う姿を見て覚えたという小学5年生が大人顔負けで堂々とステージで躍動しておりました。親から子へと受け継がれる姿に感銘を受ける瞬間でした。将来も楽しみですね!

『団七』

本市番楽の中で、日立舞しか伝承されていない演目であり、保存会の方たちのお勧めの舞です。姉妹の敵討ちの舞で、地元東北(宮城県白石近辺)に伝わる話で、ストーリーにも見応えがあります。

『ゆらゆら』

ステージで舞っていたかと思ったら、急に舞手が客席に飛び込み!アドリブで動く姿は、釜ヶ台番楽に似ている要素でもありました。滑稽なしぐさで会場を笑いへと誘います。

『空臼(からうす)』

色々な演目が演じられますが、必ず最後は4人が棒を持って空の臼をつく舞いで締めます。棒で臼を叩きながら、軽快なリズムを生み出し、最後は餅ではなく臼から出てきた飴玉を撒き終了となります。

お盆期間中に、小滝番楽、釜ヶ台番楽、鳥海山日立舞と3日間回ってきましたが、どの番楽でもトリは「空臼」舞となっておりました。

武士の舞や滑稽な道化の舞ではなく、餅つきを彷彿させる庶民の生活に一番近いものがトリを飾るというのは、どこか腑に落ちるような気がします。きっと、五穀豊穣の意味合いが強いのでしょうね!

横岡地区の鳥海山日立舞もとてもおもしろかったです!

取材は、小滝地区、釜ヶ台地区、横岡地区と回り3日目の最終となりました。各保存会、三者三様で見応えがあり、同じ演目もありましたが、保存会によって拍子が違い、別の舞を見ているようでした。3日間体験したからこそ、見比べるのがとてもおもしろい要素だと思います。

是非鳥海山日立舞を体感してみてはいかがでしょうか?そして、お盆のご都合が合う方は、3日間の番楽三昧ツアーもおすすめですよ!

この記事を書いた人

TeGAKe

地域の未来を手がけるプラットフォームとして、秋田県にかほ市で活躍する地域プレイヤーのインタビュー記事などを発信するWebメディア