こちらの記事は、『漁師 佐藤正勝氏のルーティーン Vol.1』の続編になります。

今回は帰港してからのルーティンと、漁業の将来やにかほ市への想いをインタビューさせて頂きます。

PM 16:00   港に到着。荷下ろし。

Q:仕事をする上でのこだわりはありますか?

現在、秋田県の漁師のことや自分のことを頑張って発信し、注目を集めている若い漁師達が、この先も自由に発信でき、秋田県全体の水産業を盛り上げてくれるための地盤を作る世代が自分たちだと感じます。

なので私達世代は、色んなコンテンツを使い私達ミドル世代が考えられる事や、やれる事、変えられる事や変えられない事など示して、それを元に若き世代や、これから生まれる「未来の漁師」の礎になればいいと思います。
結果的にそれが自分の船や息子に良い影響が出れば良いと思っています。今の子達がもっともっと漁師に興味をもってもらえるような活動をしていきたいと思います。

具体的には”Eコマース”の進化系で”LIVEコマース”、Webカメラとタブレットを船に積んでリアルタイムで船の様子や魚が獲れるまでの様子を配信して、その場でお客様に競ってもらい、販売します。その後は船の上で注文書のプリントアウト、詰め作業をして、港に着いた時には宅配業者が待っているという仕組みです。

このようにオペレーションを仕組み化することで、漁師の負担や販路の拡大に繋がると考えています。また、全国発信して痛烈に感じた事、それは「地元に魚を食べてもらう」ことの必要性です。

Q:LIVEコマースは面白い仕組みですね。

PM 17:30   解散。EC作業。SNS作業。

18:30までに運送会社に魚をもっていきます。帰る時にも弁天様や達磨様に手を合わせます。

PM 21:00 就寝。

このくらいに寝て、00:30に起きます。

Q:漁師のやりがいについて教えてください。

自分が頑張った分だけ返ってくることです。乗組員でも実感できるが、船長はもっと実感できると思います。魚を捕るために船長が場所を決めるが、捕るためには乗組員がいなくては捕れない、だから乗組員も大切です。なので乗組員と一丸となって成果が出た時はとても嬉しいです。

SNSやEコマースを通じて漁師を発信することで色々な方と繋がりができて、面白いですね。例えば、農家さんや酪農家さんと物々交換を行ったりもします。他には漁港でハタハタ釣りをする釣り人さんのマナーが悪かったことをTwitterに上げた際には、色々な方に問題意識の共感を得ることができたりと、オンライン上で反応を得られることは面白いです。

元々は漁港におろすだけでしたが、消費者と繋がりを持つことができるので良いと思います。 

Q:なるほど。

”漁師”と”漁協”が生き残る方法も同時に考えています。自分だけが「良ければ良い」という考えを重視していると周りが崩れていって自分の足元もすくわれる気がします。なので漁協も存在意義を見いだして、共存を目指しています。

Q:今後の展開について教えてください。

「食べる文化」がないと感じています。こんなに海があるのにお土産屋さんで魚がないことに疑問を感じる…ですが、漁師(船長)が6次産業にも手をかけると人件費や創業資金もなく、時間もないので出来ないと感じています。ただ、海の様子によって漁に出られないことも多々あります。それを埋めるためには養殖が良いと思います。

ただ松宝丸(船)を回すだけならば楽なんですが、あっちもこっちも考えながらやらなくてはこれからの漁師はダメだと思います。その道筋を私達の世代が作れば、次の世代が楽になると感じます。

Q:では最後の質問です。正勝さんにとってにかほ市とは?

自分を良くも悪くもする『舞台』だと思います。自分が立つ舞台だから良くしたいと思うし、もっと人が集まってほしいと思うし…。10年以上会っていない仲間も、個々でお店やったり、会社やったり、県外や知らないところで頑張っています。私は残ってこのにかほ市という舞台を「変わらない町」と「帰ってきたいと思わせる魅力的な町」にしたいです。

漁師のルーティンだけではなく、今後の漁業についてのお話が大変興味深かったです。これからも佐藤さんの新しい取り組みが楽しみです。

佐藤正勝さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

佐藤正勝

にかほ市で漁師として活躍している佐藤正勝(さとうまさかつ)さん。松宝丸(しょうほうまる)の船長として活躍している。