今回は『斎藤団四郎種苗店』を営みながら、『にかほ出前商店街振興会』の会長を務める齋藤 伸二さんにインタビューしました!
にかほ出前商店街振興会はどのような活動をしているのでしょう?会長の齋藤 伸二さんに詳しく伺いました。

Q:まず初めに齋藤さんの経歴と現在どのような活動をしているか教えてください。

自営業をやっておりまして、『斎藤団四郎種苗店』という農家の皆さんに野菜の種や花の種を供給している種苗商と言いますかね、種屋をしています。

Q:どのようなきっかけで種屋をやることになったんですか?

このお店のほうは前から家業としてやっていて、引き継ぐような形ですね。

Q:元々興味があったんですか?

元々はそんなに興味はなかったんですけど、家業ということで、流れで継ぐような形になりました。引き継ぐうちにだんだん興味がわいてきて、お客様にもお世話になりながら、なんとか営業しております。

Q:それとにかほ市の『出前商店街振興会』の会長さんもやられているんですよね?

そうです。

Q:『出前商店街振興会』はどういった活動をされているんですか?

2010年からスタートした、にかほ市商工会の会員の中で有志で始めた会です。元々は”買い物弱者”や”交通弱者”という部分を商売の力でなんとかならないかなということで、商工会と会員で先になって始めました。買い物が不便な地区に商店街を出店する地域活性化事業で、各地を転々と回って活動しているような感じです。

Q:どのような方がご利用されているんですか?

やはりご高齢者というか、買い物に普段気軽に行けないような人たちのためになっていますね。

Q:その出前商店街という文化に初めて触れたきっかけや出来事について教えてください。

出前商店街が始まり、参加した際に各会場を回って思ったことがありまして…やはり”買い物に来る”ことがお客様は楽しみなんですけど、買い物をするだけではなく、そこでお客様同士でお喋りをしたりコミュニティの部分がすごく重要なんだなと思いました。

商売として決して採算が取れているとかではないんですけど、お客様が喜んでくれるという部分がすごく大事だなと思いました。普段、我々が地元で商売している恩返しだと思えばいいかなと思っています。あと、会員同士のコミュニティにもなっているかなと思います。普段は話せない商売の話をしたり会員同士の会話も弾んでいるような感じです。お客様同士だけではなく、会員とお客様の会話も楽しいです。

なので交通弱者、買い物弱者というよりは今は完全に福祉商業って言っています。お客様のコミュニティのためだと思っています。

Q:会長をやることになったターニングポイントはありましたか?

私が会長を引き継いだのが2015年からなんですけど、会長を引き継いだときに思っていたことは、こういう活動を無くしちゃいけないなという気持ちがありました。やっぱりお客様の要望もあったり、さっきも言った通り普段地元で商売させてもらっている恩返しをしなきゃなって…地域貢献じゃないですけど。

Q:そういう部分から積極的にしていこうという感じなんですね。

そうですね。もちろん自分のお店の存続のこともありますけど、お互いwin-winでいければなと思っています。

Q:活動の中で大変なことはありますか?

開催当初も手探り状態で、あっちの会場行って、こっちの会場行って…。交通弱者、買い物弱者はイコール山間地というイメージはありませんか?

Q:ありますね。

そうなんです。例えば釜ヶ台地区とかに、お店屋さんが一同に、椅子を運んだりテーブルを運んだりして開催していたんですよ、12年前は。その辺が大変でした。そして、その会場に行って開催しても、人が何人ぐらい来るかというのも全部手探りでした。

私が会長を引き受けてからは、例えば山の方に行くとしたら、田植えの時期や今稲刈りの時期というような農繁期を避けるようにしました。沿岸の方に行く場合は、今はハタハタが獲れているから漁師の母さんたちは来ないな…とかっていうのを気をつけながら開催していました。あとは、にかほ市の福祉の方、『デイサービスの日』なんてありますよね。そういう情報もにかほ市の福祉の方と共有しながらやっています。そうやって進めていっているんですけど、やはり開催地区、人手がどのくらい来るか、どうしたら利用してもらえるのか、という部分ではずっと手探り状態が続いているような感じがします。

会場に行って人が来ないってなったときに一番凹みますもんね、会員も集めて出勤させて…。そういうところですかね、苦労しているのは。あとは出店者を集めるのも大変でした。

Q:なるほど。

特にお昼ご飯を提供する業者さんへの出店依頼は大変でした。お昼ご飯を提供する業者さんというのは、やはり自分のお店があってお昼は営業しないといけないんです。そこを捕まえて出前商店街で頼むから…って言うわけにもいかず…。そこをどうしようというので、お弁当で対応をしました。その辺もやはり大変な部分でしたね。出店会員を集めるのも大変だし、お客様を集めるのも大変、開催日時決めるのも大変、この3点ですね。

Q:具体的にどういった方が出店されているんですか?

日用雑貨です。例えば『与作』さんもトイレットペーパーやサンダル、ゴミ袋などを取り扱っています。あとは八百屋さんがいたり魚屋さんがいたり、さっき言ったお弁当屋さんもいたり、我々は種屋さんなので種とか園芸のお花の方とかです。

Q:幅広い商品を出されているんですね。

そうですね、電気屋さんもいますし。

Q:そうなんですね。大変なことが色々とあると思うんですけど、逆にやっていて良かったと思う瞬間はありますか?

やっぱり各会場に行って「楽しかった」とか、「また来てね」と言われるのが一番励みになっています。全会員がそうだと思います。お弁当を買って美味しかったよとか、あのサンダル良かったねとか。あと、大工さんによる包丁研ぎもやっているんですよ。これがすごく好評です。職人の力で切れ味が抜群の包丁になります。

「また来年も待ってるから」とか、やっぱりお客様に感謝されたりすることが良かったと思う瞬間です。こっちもありがとうなんだけれど。(笑)そういう部分ですね。

Q:「ありがとう」と言われると出店者さんも嬉しいし、開催している側も嬉しいですよね。

嬉しいです。それがやっぱり励みとなっています。

Q:そういう部分もやりがいを感じる瞬間なんですか?

そこが一番だと思います。やっぱりお互いに来て良かった売って良かった、というwin-winのやり取りが成立したときにやりがいを感じますよね。売りっぱなしでもだめだし、全く売れないっていうのもだめだし。

Q:そうですよね。齋藤さんはどんな思いで取り組まれていますか?

人ってやっぱりお話したいじゃないですか。(笑)各地区にお邪魔したときに微力ながらでもコミュニティの力になっていればいいかな…なんて思っています。

コミュニティの力になっているのがまず大事で、あとはさっき言った通りお客様にも感謝をされて、会員の方もお客様に感謝するようなwin-winな関係が保てれば一番いいんですけど、そのバランスとるのが大変ですよね。

Q:やっぱり大変ですよね。

正直、今は壁にぶつかっています。コロナでここ2年くらい出前商店街をお休みしていたんですよ。今年(※取材当時2022年)はまず順調に開催しているんだけど、コロナ後の開催でしょうがないことかもしれませんが、やっぱり来ない人は来ないです。または、ここ2〜3年の間で体調を崩しちゃったとか。いつもここに来れば、あのお母さんが来てたのに来ないな…と思い聞けば施設に入っちゃったとか。そういった部分で人口減少もひしひし感じています。その辺はとても課題に感じています。今後どういう風に開催していったらいいのかみたいな。会員も出店して、ただ戻りとかになるとやっぱりどうしても負担がかかっちゃうので。

Q:出店者の皆さんも自分の本業がありますしね。

そうなんです。出前商店街でがっつり商売しようという会員はいないんですよ、正直。半分ボランティア精神を持っている会員ばかりで、それでずっと長年続いてきているような感じです。

長年続けてきたことで、共同通信社の『地域再生大賞』という地域で頑張っている人たちを応援しようというのがあって、それに秋田魁新報さんが、秋田県代表で出前商店振興会を推薦、ノミネートしたんです。そしたら見事、今年1月下旬に北海道・東北ブロック賞をいただきまして、商工会に飾ってあります。

Q:そういったものがあるんですね!

そうです。私もびっくりしました。取材に来てたというのもあるんですけど、活動を続けていたので、にかほ市の出前商店振興会を推薦するということで応募したところ、なんと見事に。

Q:すごいですね。結果が全てというわけでもないですけど、一つ形として残るのはいいですよね。

そうですね。12年目でやっていますけど、一区切りという部分もあるのかなと。よく十何年も続いたなと思っています。会員の努力というかボランティア精神、温かい心がね。会員の皆さんのおかげでとれた『地域再生大賞』だと思っています。

Q:こういった活動をずっと続けてこられていると思うんですけど、なぜ継承していくのか思いを教えてください。

開催当初は交通弱者をなんとかしないといけない、買い物弱者をなんとかしないといけない、という部分もあったのですが、今はやっぱり人と人とのコミュニティが大事なんだなと思いました。お客様や会員の笑顔がすごく大事だなと思うので続けています。さっきから笑顔ばかりですけど。(笑)楽しかったなっていうのが一番かなと思います。

Q:楽しいという気持ちはずっと残りますからね。

楽しいというのは残りますし、会員の皆さんも多少なりとも地域に貢献しているなって、我々も必要とされているんだなって感じでモチベーションが上がればと思っています。お客様からも、また出前商店が来て良かったって思ってもらえるようにと思います。それを今、継続していくのに正直壁にぶつかっています。(笑)継承していくにあたってコロナ後の在り方を悩んでいます。

Q:これからこういうことをしたいとか、こうなっていってほしいとか、将来のことは何か考えられていますか?

これから会員の皆さんと話し合う段階ではあるんですけど、私の思いとしては、秋田県内で開催されている五城目の朝市とかがありますよね。ああいう形も開催してみたいなと思っています。

Q:朝市のようなスタイルということですよね?

そうです。そういう形でできればなと思っています。まだ案ですが。(笑)

Q:朝市スタイルも案段階ですけど、これからが楽しみですね。

まだ役員会でも話していないんですけどね。(笑)ありがとうございます。

Q:では最後の質問になります。齋藤さんにとってにかほ市とは何ですか?

なにより大好きな地元です。商売させてもらって、生活させてもらっているところでもあります。やっぱり自分の地元っていう感じです。

Q:それが一番ですね。これから出前商店街という形でにかほ市を盛り上げていかれると。

そうですね、孤独な老人がいなくなるように、福祉商業ってそういうことなのかなと思っています。1人でも多くの皆さんとお話ができたり、笑顔にできたらいいかな、なんて思います。

買い物をする場所の提供だけではなく、地域の方のコミュニティ形成の場として活躍している出前商店街。コロナ禍や人口減少などの社会課題はありますが、今後の活動も楽しみです。齋藤 伸二さん、ありがとうございました!

この記事を書いた人

齋藤伸二

野菜の種や花の種を供給する種苗商の斎藤団四郎種苗店を営みながら、にかほ出前商店街振興会の会長を務める。