今回は、にかほ市の金浦漁港で漁師として活躍している佐藤 正昂さんにインタビューしました!漁師の前は音楽をやっていたとか…漁師になるきっかけまで伺いました。

Q:経歴と現在の活動内容について教えてください。

金浦小学校、金浦中学校、仁賀保高校。仁賀保高校を卒業してお好み焼き屋さんに行って、次にたい焼き屋さんに行って。

Q:それは秋田県内ですか?

県外です。関西のお好み焼き屋さんに行って、にかほ市のたい焼き屋さんに行って、次に飲み屋さんに行って、次は『潮乃家』に行って、そのあと『北前』に行って、『はまなす』行って、そこから歌一本になって。

Q:そのときは何歳くらいでしたか?

歌は19歳のたい焼き屋さんのときからやってたんだけど、歌一本になったのは25歳から。それで次が漁師。

Q:歌一本になってからは、何年くらいやってたんですか?

漁師は32歳くらいでなったかな。だから歌一本になってからは6年くらいはやったかな。

Q:なるほど。高校から音楽はやっていたんですか?

そう。

Q:何に影響されたとかはありますか?

長渕とかかな。

Q:そのときはソロでやっていたんですか?

ただ家でギターを弾いてただけ。高校のときは。

Q:なるほど。卒業してから恵介さん(※ユニット相手)と始めたんですか?

そう。あっちがやろうって言ったから仕方なく。俺はしぶしぶだな。(笑)

恵介が勝手にエントリーシートに俺の名前を書いて応募したの。商業施設のLIVEイベントに。そのあと「もう応募したから」「もう決まってるから」って言われて、仕方なく出るために練習したんだよ。

Q:そういうきっかけがあったんですね。なんだかすごくいいですね。最近のアニメでも文化祭でバンドやるときに、勝手にエントリーシート出されるっていう話がありました。

真似したな。(笑)俺らのLIVEに来てたんだな、その作った人が。

Q:そうかもしれないですね。(笑)そこからずっと一緒にやっていたんですね。

そう。ずるずるやって。(笑)

それからライブイベントや、路上ライブをやっていくうちに、音楽でプロとして成功したいと思って俺も本気になっていった。

Q:そして2019年に解散したんですか?

そうそう。

Q:音楽一本になったのは何年ですか?

2014年かな。2014年の1月くらいまで『はまなす』でバイトしてたかな。俺もバイトしてて、恵介も会社で働いてて。

Q:秋田県を出て戻ってきてから一緒にやったんですか?

そうそう。戻ってきて、会社を辞めて、その間、恵介は1人でやってた。あいつはずっとミュージシャンになりたかったんだよ。俺はお好み焼き屋さんの店長になろうとしてたんだけど、辞めて戻ってきた。

その間も連絡はしてて、「俺、テレビのやつに応募してみようと思うんだよね」とか「あれに出てみたいと思うんだよね」とかそういう話はしてて、「帰ってきたら今度やろう」とかも言われてたんだよ。

それで誰にも言わないでしれっと帰ってきて、何も言わないで恵介の家に行って、お母さんに「恵介どこ?」って聞いて、「お風呂入ったよ」って言われたからガチャって入っていって「帰ってきたぞ」って。(笑)そこが『ケースケ&マサ』の始まりかな。

Q:そんなエピソードがあったんですね。(笑)

それで俺が帰ってきたっていうことを知って、恵介が勝手にエントリーした。

Q:なるほど。高校を卒業して、何で一度県外に出たんですか?

求人票がなかったから。お好み焼き限定で探してたから。(笑)それで京都の会社に行って、最初は兵庫で働いて、そのあと京都で働いて戻ってきた。

Q:それは何で戻ってきたんですか?

家のことが色々あって戻ってきた。

Q:なるほど。音楽一本になったタイミングは何かあったんですか?

『なまりうた』っていう番組に出て、優勝したんだよ。その番組の常連にもなってて、やっぱりテレビに出ると仕事が増えるんだよ。それですごく忙しくなって、バイトに入る余裕もなくなったし、稼ぎもよくなったからバイトする必要がなくなった感じ。

Q:そのときに恵介さんも仕事を辞めたんですか?

そう。そのタイミングで事務所に入ったんだよ。入ったっていうか、事務所がなかったんだけど、今で言うとバズってた状態だったから、それに乗っかってスタッフの人が事務所作ってくれて、一緒に始めたの。俺たちにしたら念願だよね。バイトとか会社を辞めて音楽だけで生活できるっていう。

Q:何で解散することになったんですか?

「秘密」

Q:解散したあとはすぐ漁師になったんですか?

そう。解散したのが2019年の12月28日か29日あたりで解散LIVEやったんだけど、その前に5月頃にチャレンジデーがあって、あのときに解散するって決めたんだよ。解散までは半年くらいあったから、辞めるとしたら次の仕事は何があるかなって意識し始めたときに、漁師かっこいいなって思って。

それが頭の中にずっとあって、音楽以外なら漁師がかっこいいなって思って、知り合いの色んな漁師に聞いてみたんだよ。それで最終的に今の『建て網』に乗せてもらうことになったんだけど、その前に健一さんの船で、船に慣れる練習とか、刺し網の修行に行かせてもらってたんだよ、1月中ずっと。それで3月から、正式に建網に乗せてもらえるようになって、それからかな。

Q:釣りは昔からやってたんですか?

釣りは小学校のときから。ソウギョのポイントで。

Q:ソウギョは何で釣ったんですか?

芝をむしってぶん投げて。(笑)あとパンとか野菜とか。

Q:今もいますか?

いる。夏になれば勝手に釣れるよ。

Q:最近は水が減りましたよね。

減ったね。

Q:竹島潟とかではやらないんですか?

やってた。あそこにもいるよ。

Q:観音潟とどっちの方が釣れますか?

釣りしやすいのは観音潟かな。狭いし、いる場所も限られてるから。竹島潟は広くてポイントが絞れないんだよ。

Q:あそこはカメとかも釣れますよね?

カメもいるしスッポンもいる。前にスッポン釣ったことあるよ。

Q:スッポンもいるんですね。バスもいるんですか?

バスも前いたんだけど、それこそ工事して噴水作ったりして、そのあたりからバス駆除して。水抜いたの。

Q:そうだったんですね。

それから今の水位になったんだよね。

Q:なるほど。

そこからだんだんあちこち水抜いてバス駆除して…。だんだんバスがいなくなってきて、バスブームが去ってから辞めたな、バス釣りは。

Q:最初はバス釣りだったんですか?

最初は父から習ってフカセ釣りから始めて、海の防波堤でおじさんたちに混ざってやってたんだよ。それが小学校低学年のとき。小学校高学年から第何次バスブームみたいな感じになって、コロコロコミック(※少年漫画雑誌)で、村田基の『グランダー武蔵』が流行ってからバス釣り始めて。そこからルアー釣りずっとしてるかな、小学校高学年から。

Q:そのときも淡水ですか?

淡水。海釣り始めたのは最近かな、漁師になってから。

Q:そうなんですね。そのあとは渓流してたんですか?

そう。渓流はイワナ、ヤマメ。全部ルアー。渓流を始めたのは6、7年前かな。それまではずっとバス。

Q:なるほど。ルーティンのお話も聞きたいんですけど、このルーティンはいつの時期ですか?

だいたい今時期かな。(※取材時2023年2月)

ルーティン

AM 5:00 起床

天気予報のアプリで天気チェック。大谷の速報をYoutubeでチェック。

Q:朝は天気予報と、大谷(※野球選手)の速報をチェックするんですね。

そう。(笑)イチローが現役のときはイチローを見てたけど。

Q:野球が好きなんですか?サッカーをされてましたよね。

サッカーやってたけど、野球の方が上手い。(笑)野球の方がポテンシャルがある。

Q:サッカーはいつまでやっていたんですか?

中学校まで。高校は兄貴と一緒に空手やってた。

AM 6:00 港へ

浜の100円自動販売機で缶コーヒー

Q:そうだったんですね。そして港に行ったら浜の自動販売機でコーヒーを買うんですか?

100円のところで。(笑)

Q:そして漁に行って、この辺は雅貴さん(※にかほ市の漁師、池田雅貴さん:記事はこちら)と同じ感じですよね?

そうそう。仕事内容はね。

神陽丸(しんようまる)佐藤 正昂さんがのっている船

PM 12:00 帰港

PM 13:00 帰宅

Q:そして帰ってきて、すぐお風呂に入るんですね。

魚臭いからまずお風呂に入る。

PM 14:00 釣り

凪のときは沖へ。風がある時は山奥で川釣り。

Q:お風呂のあとに釣りに行くんですか?

釣りに行くときはお風呂に入らないかな。行かないときはお風呂に入る。

Q:どの辺に釣りに行くんですか?

最近っていうかずっと同じなのは鳥海山の川。川名は言えないけど、鳥海山の川で渓流釣りをしてるよ。海は沖に行ってタイ釣りとかスズキ釣りしてる。

Q:それもルアーですか?

ルアー。エサが気持ち悪くて触れなくて。

Q:海はジグですか?

ジグもあるしタイラバもあるし。

Q:でも今エサ釣りしてる人あんまりいないですよね?

じいさんしかいないな。(笑)エサ代もかかるしね。

Q:午後からも船が出るときがあるんですか?

あるよ。

Q:朝に行って、昼からまた出るんですか?

その日の段取りによるけど…例えばサケの時期だったら、朝行ってめちゃめちゃ入ってたら、めちゃめちゃいるってことだから、午後からも獲りに行くってなったり。

あとは、今やってる沖の網の場合は、いっぱい魚が入りすぎて時間かかって大変だってなったら、1回帰ってきて、ご飯食べてもう1回行ったり、それはそのときの状況に応じて。だいたい網仕事とかそういうのがなければ漁に行って帰ってくれば昼前とか。サケのときは1〜2時間で帰ってきたり、その日によってすぐ終わったり。

Q:なるほど。

網の準備とかってなれば、今はサクラマスの網を準備してるんだけど、そういうのが始まると忙しくなるんだよ。それが終わって、漁が始まってしまえば魚獲るだけだからすぐ終わる。

PM 18:00 夕食、家族と食事。

Q:時期によって結構変わるんですね。そして18時頃にビールを飲んで家族とご飯。

そう。

PM 20:00 ビール、子守

Q:そのあともビールを飲んで、子守をするんですね。

そう。(笑)

PM 21:00 ビール、嫁と対談

Q:そしてビールを飲んで、子守。嫁と対談。(笑)

そう。(笑)

Q:コミュニケーションは大事ですからね。(笑)

基本はだいたい同じかな。

Q:どういう対談をするんですか?

EXILEについて。(笑)EXILEについて話し始めると半日かかるよ。ガスト(※ファミリーレストラン)とかに、たまに昼飯食べに行ったりすると、夕方になって、そのまま夜飯食べたりする。(笑)

Q:すごいですね!(笑)

結婚してもう7年くらい経ってるけど、ずっとダラダラ対談してるんだよ。だからなんで毎日こんなに話すのにネタが尽きないんだろうなって。ずっと喋ってるんだよね。

Q:それはシーズンごとに対談のネタが変わるんですか?

いや、ずっとEXILE。毎回EXILEだよ。(笑)

生徒がどうしたらデビューできるかどうかまで一緒に考えてるよ。(笑)

嫁がEXILEの学校の先生で、EXILEの学校の中でもトップの先生なんだよ。”特待生”って言って、デビューに向けて仕上げる段階を担当してる人だから、結構込み入ったような話。(笑)

例えば「今日、会社でこういう生徒がいてさ…」とかじゃなくて、ガチで「これどう思う?」「このハモリどう思う?」とか。俺は元々EXILE好きだったから…初期のEXILEね。初期のEXILEが好きだったから、今のEXILEについては物申したいことがあったりするから、そういうこととかもあって色々。その初期のEXILEが良かったのにっていうので、それでもう2時間くらい対談してる。(笑)

ほら、盛り上がってきたでしょ?(笑)今、EXILEで3分経ったから。(笑)

Q:こうやって始まっていくんですね。(笑)

PM 22:00 就寝。

寝る前に天気予報と大谷の速報のチェック

Q:そして寝る前には天気チェックして、また大谷の速報を見るんですね。(笑)

そう。(笑)今日も大谷が先発したから、今日も忙しい。

Q:なるほど。では最後の質問なんですけど、マサさんにとってにかほ市とは何ですか?

普通に地元だから、住んでるところっていうか、住むところかな。鳥海山とか自然とか、そういうすごいものがあるのが当たり前のところで過ごしてるから、すごいところではないんだよな。

音楽の道から漁師に転職した背景や、趣味の釣りのお話まで聞かせていただきました。やはり漁師は全く違う業界からみても『かっこいい職業』で選ばれる仕事なんですね。

佐藤 正昂さん、ありがとうございました!

佐藤 正昂さんは漁師図鑑に登場しています。ぜひご覧ください!

この記事を書いた人

佐藤正昂

にかほ市の金浦漁港で活躍する漁師。にかほ市で発行している『漁師図鑑』にも登場している。